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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

研究費の行き先

修士課程2年のEくんが,近々CERNに出張することになりました。彼と今日昼飯を食べているときに,航空会社をどこにすればいいですかね,と軽く質問を受けました。私の基本方針は,常識の範囲内でなるべく安いのを探し,あとは自分の好み(航空会社のサービス,器材,経由地など)で好きにすればよい,というものです。

私たちがよく利用する旅行代理店は,幸か不幸か,言わなくてもかなり安いチケットを提示してくるので,そこに任せちゃえば楽でいい,という考えがあります。それから,とにかく安いのを探せとなると,探す労力が得られる対価に対してとてつもなく大きくなってしまいますし,南回りなど無茶な経由地を使うのも微妙な感じです。さらに,他の大学では,学生とは思えない贅沢なチケットを選ぶ学生がいることもあるのですが,貧乏に慣れている大阪のATLASグループの学生は,言わなくても非常に安いチケットを探して来るので(資金を集めるべき立場にある私が偉そうに言うことではないのですが),わざわざ安いのを探せと念押しする必要がない。というのが常識の範囲内で,と言える根拠です。

そういうわけで,常識的なチケット代の相場を教えて,あとは好きな航空会社を選べばよいとアドバイスしたのですが,一つだけ前から気になっていることがありました。

フェルミ国立研究所にいたときは,出張時に航空会社はアメリカの航空会社を使うよう指示されていました。というか,研究所にトラベルオフィスなる部門があってそこでチケットを手配するのですが,そうするとアメリカの航空会社が勝手に優先的に選ばれます。ただ自分で探すよりも割高だったり,アメリカ以外の航空会社のほうが安いことがあるのですが,それでもアメリカの航空会社優先でした。それこそ,値段の差が2倍くらいにならないと(?),アメリカの航空会社になりました。

賛否両論あるでしょうが,研究費は,国内への資金供給,土木工事などの公共事業という意味合いもあるので,その立場に立つと,多少高くても国内の産業に金を使えというのは理にかなっています。たとえば,研究遂行のために日米間を1往復しなければならない。その1往復の航空チケットが国内会社で15万円,外国の会社で10万円だったとします。このとき,研究費の裁量権を持っている人にとっては10万円のほうがもちろん嬉しいです。差額5万円を別の旅費に回せるかもしれませんし,実験機材を調達できるかもしれませんから。

しかし納税者の立場から考えると,どっちがいいのか悩んでしまいます。研究費の原資が税金だとすると,10万円で済む方が税金少なくて済むから嬉しいような気もします。しかし,10万円のチケットを買うと税金を払っている納税者にはリターンがありません。というか,実際には,販売ルートのマージンや国内人件費などがありますから,極めて少ないリターンしかないというべきでしょうか。ところが15万円のチケットだと払った税金が企業の収益としてまるまる納税者に戻ってくることになります。だとしたら,研究費の無駄云々を議論して,もっと研究費を抑えられるかどうかを議論するよりも,使われた研究費が最終的にどこに還元されていくかを考えなければならないことになります。

もちろん,この説明は,航空チケット代の還元される先を非常に単純化してしまっているので,実際にはこんなに話は簡単ではないのでしょう。チケット代がどのように,再分配されていくのか詳細に調べないと,本当に国内の納税者が得なのがどちらなのかはわかりません。でも,ナイーブには国内の航空会社を使った方が納税者たる国民に還元されるような気がするのですが,そういう金の流れになっていないのですかね。フェルミというか,アメリカではそうだと考えられていたからこそ,多少高くてもアメリカ国内の航空会社を使わされていたのだと思っていたのですが,日本ではそういう話を全く聞かないので,ちょっと不思議に思っていました。

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