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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ノーベル賞報道

私たちの間では依然ノーベル賞の話題で盛り上がっています。マスコミの報道でも大きく取り上げられ、日本にとっても明るいニュースでよかったです。そういう報道を通して幾つか感じたことがあります。

まず、私たちの業界には、南部さんが受賞したことを本当に嬉しく思っている人がたくさんいることがわかりました。益川さんの記者会見でも、自分が受賞したことではなく、南部さんが受賞したことに対して感極まってしまう場面がありました。自分の周りにいる研究者、マスコミにコメントを寄せた人たち、みんなが南部さんの受賞を心から祝福しています。一般の人には知られていなかったかもしれませんが、それくらい素粒子物理学者としての業績が飛び抜けていて、本人も言っていましたが、それこそ何十年もノーベル賞受賞を多くの人が望んでいました。本当にめでたいことです。

次に、その南部さんの業績を伝えるニュースを見ていて思ったのですが…
南部さんの提唱した自発的対称性の破れは、CP対称性ではなく、カイラル対称性(が保存されていれば、右巻き粒子と左巻き粒子が別粒子として振る舞う。粒子に質量が存在すると右巻きと左巻きが混ざりあってカイラル対称性が破れている、と言います。)に関するものですが、完全に誤解されているようで、南部さんの業績も粒子・反粒子に関する対称性として何度も報道されていました。完全な間違いです。閣僚の細かい発言にツッコミを入れるマスコミの方たちなんですから、あまりにも大きな間違いは避けて欲しいものです。いや、間違い自体は構いませんよ。CP対称性を理解してる人、さらには、カイラル対称性を理解してる人なんてほとんどいませんから。でも、他の人が間違えると社会的制裁といえるほど叩くわけですよね。それなのに…って感じがしてしまいます。

ノーベル賞報道に関するウェブサーフィンをしていて見つけたのが、サイエンスライターの竹内薫という人の割と長いコメントで、流石にサイエンスライター、とりわけ素粒子関係のライターなのでまともなことを書いています。その中で1つ気になったのが、次のノーベル賞候補の話。特にLHCでヒッグス粒子が見つかったら、ヒッグス(=ヒッグス粒子という名前の由来となった物理学者)がノーベル賞受賞確実と書いていたことが気になりました。私たちの知らない情報をライターなだけに知っているのかもしれませんが、個人的にヒッグスって貰えるのか微妙な感じがします。というのは、ヒッグスがその論文を発表したのと同時期か、むしろそれよりも早くアングレとブロウという2人組によって同様の論文が発表されています。なんでか私はよく知りませんが、後から発表したヒッグスの方が有名になってしまったんですね。しかも、ヒッグスが他にもたくさん業績のある人ならまだ理解可能な話ですが、ヒッグス粒子を予言した業績以外はそんなに有名ではないので、余計に不思議な話です。
……そういうわけで、ヒッグスがもし受賞するなら、アングレ・ブロウという人たち、あるいはそれよりもさらに前に同様の予言をしていた(南部さんのアイデアにもとづいて?)物性理論のアンダーソンも黙っていないのではないか、と思ってしまうわけです。まあ、黙っていないで文句を言ったからといってどうなるわけでもないのでしょうが。

昼飯を食べながら、研究室のY教授とも同様の話をしたのですが、そのとき話題になったのが次の日本人物理学賞候補。前にも書きましたが、戸塚さんが亡くなってしまわれたのは本当に残念です。最有力中の最有力だったわけですが、彼に続くとなると結構難しいものがあります。ここで実名出すと何か差し障りがあるかもしれないのでイニシャルにすると、私が予想するのはSさん(Sさんと言っても何人かいますけど。ははは)。Y教授はNさん。それ以外だとちょっと思いつかないのが痛いところです。益川さんのインタビューみたいに「今年くらいに貰えると思った」と言ってみたいものです。ははは。


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