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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

シリコン検出器と質量分析とのコラボ

昨日までの3日間、KEKからIさんという人が質量分析グループとの共同実験のために私たちの大学へ来ていました。Iさんは、私たちも参加しているKEKの新型シリコン検出器開発グループのメンバーで、学生がよくお世話になっています。というわけで、実験の目的というのは新型シリコン検出器関連なのですが、質量分析グループとの共同研究というのはちょっと斬新です。測定器開発や工学系では他の分野の人との共同研究というのはよくあることなのかもしれませんが、測定器開発の専門家ではない私にとっては珍しい経験です。って、別に私が実験に参加してたわけではありませんが。

質量分析というのは、その名の通りイオンの質量を測ることでそのイオン種を同定することで、色々な手法があるようですが、私たち理学研究科のグループではイオンの飛行時間(と運動量?)を測ることで質量を求めるという方法を使っています。素粒子物理学でも粒子種の判別によく使う技術です。彼らの応用の一つとして、試料にどういう物質がどのように分布しているかを調べる、ということがあります。たとえば、試料にレーザーだか紫外線だかをぶつけると、それによって試料からイオンが飛び出します。そのイオンがどこに飛んでいったかを測定し、また飛行時間によりイオン種を特定すれば、試料のどこにどういう物質が分布しているのかがわかります。

イオンの場所の測定では、今よく使われているのがマイクロチャンネルプレートというものだそうです。よくわかっていませんが、イオンや電子をとある材質(PMTの光電面みたいなもの?)に入射させ、そこで生成される光電子を増幅させて検出します。イオンや電子がぶつかる物質には細かいメッシュがあり、出てくる光電子の位置を測定することでイオンの入射位置がわかるということらしいのですが、イオンや電子を入射させて光電子が出てくるというところは、私にはよくわかっていません。

それはさておき、とにかく測定の肝はイオンの入射位置(=マイクロチャンネルプレートから飛び出してくる電子の位置)と飛行時間の精度の高い測定です。電子の位置の測定には蛍光板などを使っていたようですが、今度はそれをピクセルに置き換えよう、ついでに、ピクセルに入射する時間情報もわかれば、上流でイオンを検出しておけば飛行時間も測れる。そんな検出器があるといいな、というのが今回の共同研究の話の始まりでした。その実現に向けて、今あるプロトタイプ検出器でマイクロチャンネルプレートから出てくる電子を検出できるか試してみよう、とうのが昨日までの実験の目的でした。

電子の検出というは私たちにとっても日常ですが、何が違うって、電子のエネルギーが私たちが普段相手にしてる電子ととてつもなく違います。私たちが相手にしてるのはGeVオーダー、低くてせいぜいMeVオーダーです。とこらが今回の検出対象の電子はkeV。ということで、シリコン検出器(+センサーと一体化された読み出しIC部分)を突き抜けることは到底不可能。なので、ICがないセンサー部に直接電子を入射し、keVの電子に対してちゃんと検出器が反応するかどうか、というのが今回の実験目的でした。

ちょっとは手伝いをしたかったのですが、私は会議と、それから解析のコーディネータの仕事、正確には解析ノートの改訂版の提出期限が昨日だったために、それに向けて全精力を注ぎ込んでしまい、全然手伝いはできませんでした。2日間の準備の後、昨日の夕方ようやく測定をしてみるという段階で、野次馬として見に行けただけでした。ま、手伝わなかったことが幸いしたのか、検出器はイオンを出すとガンガン反応して、実験はとりあえず成功ということで、Iさんは3日間を締めくくれました。お疲れさまでした。

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