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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

検出器の搬入方法

私の参加しているATLAS実験の検出器というのは巨大で、新聞報道等で見られた方も多いかと思いますが、長さ約44m、高さ約24m、重さ約7000トンもあります。この巨大な検出器を地下100mの実験場へ搬入したわけですが、方法としては2つあります。って、そんな偉そうな話ではありませんが、全体を組み上げる前に各パーツを地下に搬入し、そこで組み立てる方法。もう1つは、地上で全て組み立てた後に全体を地下へ搬入する方法。この2つが考えられます。

ATLAS実験では前者の方法を採用し、各パーツを地下へ運んだ後に組み立てる作業が行われました。下に張り付けた写真はその様子の一部です。

toroidsmall wheel 1small wheel 2

一番左はトロイドと呼ばれる電磁石の1つで強力な磁場を作ります。その磁場によって荷電粒子を曲げ、その極率を測ることで粒子の運動量を測定するわけですね。多分トロイドの直径はATLAS検出器全体の半分以下だと思うのですが(自信ありません)、それでもこの大きさです。かつ鉄の塊ですから何トンあるのか知りませんが、猛烈に重いです。上の写真はそのトロイドを作っていた場所から、実験場まで移動するときの様子です。

真ん中と右の写真はスモールホイールと呼ばれるミューオンという粒子を検出するための装置です。名前から想像していただけるかと思いますが、スモールというくらいですから、もっと大きなのもあって、そちらはビッグホイールと呼ばれています。これらの検出器は、地下100mの地点まで掘られている縦穴から写真のようにクレーンで降ろされます。一番右の写真ではスケール感がわかりませんが、この縦穴が約100mもあります。

というように、ATLAS実験では検出器を各パーツごとにクレーンで降ろして地下で組み立てる、という方法が採られましたが、ATLAS実験のライバルとも言うべきCMS実験グループ(LHCには全部で4つ検出器があります。ATLASとCMSはヒッグス、超対称性、余剰次元などを探す実験です。他の2つは物理のターゲットが違います。)では別の方法が採られました。そうです。地上ですべてを組み上げてから地下に降ろしたのです。

CMSはATLASに比べてだいぶ小さな検出器で、長さ約22m、高さ約15mほどです(とは言っても、巨大な検出器ですが。)。そのためATLASとは別のアプローチを採ることが考えられたのでしょうが、凄いのは重さです。サイズは小さいのですが重さはATLASを凌ぐ約12,500トン。検出器全体が鉄の塊と言った感じで非常に重いのです。その駆逐艦(くらいなんでしょうか?)並の物体を地下100mまで降ろすわけですから、並のクレーンでは不可能です。どうしたかというと、そういう巨大な物体を運ぶ会社に外注し、巨大な特別クレーンを設置して、それで地下まで降ろしました。このときの様子はウェブでも流れたのでどこかにムービーがあるのではないかと思います。もし見つけたらまたアップロードしますが、まあ、とにかくビックリするイベントでした。

今日2度目のアップデートは、なぜか検出器搬入の話でした。
……前のエントリーで書いた通り、私はおだてに弱いのです。また拍手されてたのを見て気を良くして2度目のエントリーを書いてしまいました。仕事しろとかツッコマないで下さいね。

10/5追記:
駆逐艦は5,000t前後、10,000tを越えるのは巡洋艦がほとんどだというご指摘を受けました。ご指摘して下さったかたありがとうございます。

追記その2:
10/3のエントリーでコメントしていますが、CMS検出器は12,500トンの検出器全体を一度に地下実験場へ搬入した訳ではありませんでした。ATLASと違い地上で組み立てたのは間違っていませんが、搬入時には数回に分けて地下へ降下させていました。


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2008-10-02 Thu 19:12 | | [ 編集]
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2008-10-03 Fri 19:42 | | [ 編集]

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