小さな実験2011-01-11 Tue 20:34 昨日ちょこっと書きましたが、数人でやれる実験で、かつPRLに載るような論文を書ける実験を発案・実施するというのは、大きな夢です。色んな意味で大きな夢で、まずはそういう実験を発案できる人というのは非常に限られているわけで、そういう1人になれるというのは物理屋として単純に憧れます。 一方で、LHC/ATLASのような大きなプロジェクトに携わっているのは、やはり、そこで展開される物理に強く興味があるからです。物理のインパクトだけ考えたら、エネルギーフロンティアは王道だと思っています。小さな実験の魅力というのは、物理のダイナミクスさではなく、自分たちで全てを決められる、そういう実験屋としての魅力だと考えています。もちろん、莫大なインパクトを持った小さな実験というのは理想ですが…そこまで無謀なことは考えていません。ということで、自分の描く理想というのは、LHCのような物理のインパクトも規模も大きいプロジェクトをやりつつ、こじんまりとした実験を数人でやる、という感じです。 というようなイメージを想い描く実験屋は多いでしょうし、実際、そういう形態をとっている研究グループもあります。と、ここで必要なのは、やはりリソースです。特にヒューマンリソースが大きな壁です。つまり、最初に挙げた物理屋としての能力だけでなく、それなりに大きなグループを作れるだけの腕力がなければなりません。 というわけで、自分の描く理想というのは果てしなく遠いわけであり、また、そういう人物をほとんど知りません。大講座制の大学の親分は複数のプロジェクトをやっていますが、だからといって、極めて小さな実験を自分で発案推進しているという人はあまりいません(と思います)。はい、そうです。そんな人滅多にいないわけです。だからこそ、果てしなく遠い夢なわけです。 そんな中で、私は面識ありませんが(残念なことにすでに他界されています)、コンピュータ相手に「察しろや」と言ったか言わなかったかは定かではありませんが、LEP、ポジトロニウム、バルーンの実験をやっていたOさんというのは凄い人だったんだなぁ、と感嘆します。LEPは置いとくとして、それ以外の2つも真にオリジナルかどうかは私は知りませんし(私から見たら歴史みたいなものなので)、似たような実験の発展なのかもしれませんが、その後も脈々と続き、トップレベルの結果を出していることなどを考えると、やっぱり凄いなぁと感じてしまいます。 会って話をしたことがないのが残念です。 |
この記事のコメント残念ながら、私も面識がないのでどのようなご研究だったか知りません。
詳しくは存じませんが、心臓のご病気だったのでしょうか? こういう疫学のようなものは、ネットを使えば詳しい状況を集められるので、 発展が期待できるのではないかと思います。 私は今35歳ですが、「人生は意外と短い」と思います。 高校の頃、世界の人口40億人に一人1秒挨拶したら、百年かかっても 終わらないことに気づき、世の中の常識とされている形式的な事柄が とても空しく、時間が惜しく思えました。 もともと公務員研究職志望なので、大学受験やら企業間競争、出世争いなども こんなこと言ってはいけないのですが、そんなことに時間を費やしたら 後悔してしまいそう、としか思えませんでした。今の時代、例えば平均寿命を 半年延ばせるくらいの価値を生み出せたら、営業活動なんてしなくても口コミで 人は集まるので、皆が科学者になって価値を創り出せば良いのに、と思います。 残された時間はそう多くありません。引っ込んだ杭を打ちたがる人も多くて、 日常は自分のアイデアを試すことも許されない雑事に思えて、 まどろっこしくて仕方ない・・・。 今研究職には就けていないので当然、論文を読み書きできる立場では ありませんが最近、ちょっと考えた素粒子と重力に関わる実験を、 もしまだやっている人がいないなら、試したらどうなるかしら、と思います。 1.小林・益川行列のCabibbo角は、緯度の異なる地域での実験を比べた場合、 多数回繰り返したとき、微妙に異なる値に収束することはないのか。 2.ガリレオの実験を、一様な回転球を自由落下させてやってみる。 ひとつはヨーヨーのように、軸が水平な角速度を与え、 もうひとつは剣玉かコマのように、軸を垂直にする。 糸をつけて軽く引いても良いが比較対象の軸方向以外の条件は同じとする。 観測される重力加速度は等しいか?着地点での衝撃から判る重さは? 3.重力場による赤方偏移は、原始的振り子時計と現代的原子時計で等しいのか、 真面目に比べる。・・・前者は簡単にずれそうですが。 もし試す価値のあることで、論文にできるのなら、著者の末尾に名前でも載せて もらえれば嬉しいです。科学的事実である限り、詐欺論文よりずっと役立つでしょう。 今、話題になっている MEG もそうですね。 2011-01-12 Wed 18:00 | URL | 中村@Belle [ 編集] 地震予知は難しいということですが、相手の性質を良く知れば、いつか役に立って漠然とした不安は軽減するかもしれません。
そこで、私は重力を含む素粒子の理論が大学院での研究テーマでしたので、素粒子実験風に重力の性質を知る方法を提案いたします。 1.流しや風呂場などの蛇口を、両壁の真ん中辺にセットします。 2.2枚重ね切り取り線付きトイレットペーパーなど、同じ形の紙片を2枚用意します。 3.軽く流した蛇口の水から、(東西など)対称な位置に垂直に紙片を置いて、しばらく待ちます。 4.取り出した紙片を光に透かしてみて、水滴で濡れた部分の高さが異なっていれば、その高いほうに月などの引力が働いているのかもしれません。 5.本実験は、先日考え付いたばかりで、有意差があるかの検証は不十分です。非対称性を見るだけなら、共振効果の補正は不要かもしれません。ご興味のある方は試してみては如何でしょうか? |
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