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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

Belle検出器の一部

1998年だか99年に稼働を開始したKEKのBファクトリー・Belle実験は、(SLACのBaBarとともに)小林・益川にノーベル賞受賞の決め手となる成果を出し、去年ようやく運転を終えました。A軍曹の言葉を借りると国策であり、是が非でもアップグレードを行わなければならないプロジェクトです。というわけで、部分的承認を受け、さらにNさん情報によると今年度の予算案にも無事載って、数年後の運転を目指し、アップグレードが進行中です。

アップグレードで何をするかと言うと、ルミノシティの増強。電子ビームと陽電子ビームの1回の交差あたりの衝突頻度を上げ、同じ時間でより多くの衝突事象を観測するのが狙いです。電子ビームの衝突では、陽子などのハドロン衝突に比べて中性子があまり生成されないので、検出器のわりとすぐ近くまで人間が立ち入れるのですが、今度のアップグレード後は、(陽)電子ビームの放射光であるγ線が猛烈にたくさん生成され、そのγ線がビームパイプなどの物質と相互作用をした結果、それなりの量の中性子が生成され、検出器の外側も立ち入りできない管理になるとか。とまあ、それくらいビーム強度の高い実験になるというわけです。

ちなみに、LHCなどのハドロンコライダーでは、ビーム衝突時に中性子が普通に生成され、中性子は電荷がないので物質と強い相互作用を起こすまで、検出器内、あるいは実験ホール内をふわふわ(?)漂っています。エネルギーの高い中性子の場合は、ふわふわという形容は正しくありませんが、エネルギーが低い場合は、本当にふわふわという形容がふさわしいくらい遅い速度で移動しています。こういう中性子は、ビーム衝突のタイミングと関係なく検出器と相互作用を起こしますので、シミュレーションする際にもそういう効果を取り入れています。

話を戻すと、Bファクトリーのアップグレードでは、ビーム強度が上がるために、耐放射線性を上げる必要がまずありません。そして、同じ理由から衝突点近くの検出器のヒット頻度を下げるために、あるいは高いヒット頻度にも耐えられるように検出器を作り直さなければなりません。検出器というのは、ビーム衝突点を囲むように何層にも渡って種類の違う検出器が配置されているので、内側を交換するには、外側の検出器を開けなければなりません。

というわけで、Belleは去年の運転停止後、ビーム衝突地点からロールアウト(=大きな検出器全体がレールの上に乗っていて、動かすことができます)させ、実験ホール内の広い場所に移動。外側の検出器を開けるという作業を行いました。ロールアウト後、外側の検出器から順次開けていくのですが、そのときの様子を捉えた写真を2枚ほど貼っておきます。(写真提供:Nさん)

ECL moved out 1 ECL moved out 2

コライダー実験の検出器は、その名の通りBarrelと呼ばれる樽場の検出器と、その上下(前後)を塞ぐ2つのEndCapと呼ばれる部分からなっていることが多く、写真は、CsI結晶を構成部品とした電磁カロリメータのEndCap部分を移動してるところです。このパーツの外側にはミューオン検出器があり、逆にこの検出器のさらに内側にはアエロジェルチェレンコフカウンターと呼ばれる粒子識別検出器があります。それも外すと、ようやく荷電粒子飛跡検出器であるドリフトチェンバーとさらにその内側にあるシリコンストリップ検出器を外すことができます。

KEKのBelle検出器のある筑波実験ホールの近況(昨年末の様子)報告でした。

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