FC2ブログ

ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

量産を急ぎたい学生

研究室の4年生の卒業研究が佳境に入っています。幅1センチ程度の板状のシンチからの光をファイバー読み出し。それを複数個横に並べることで、荷電粒子の位置検出器とする目論みです。この計画に沿って、検出器の量産と、多チャンネルのデータ収集に必要な電子回路の調達を4年生は行っているのですが、私には不安がいっぱい。というのは、宇宙線をシンチ+ファイバーで検出、そこからの光を検出するマルチアノードPMT、さらにPMTからの電気信号をオシロなり、ADCなりで確認した結果を見せてもらったことがないからです。

もしかすると、4年生の誰かがこのブログを見ているかもしれないので、ここでも繰り返しますが、とにかく、量産や多チャンネル化の前にまず1つのチャンネルで、狙った通りに宇宙線を検出することを確認して欲しいです。光量が足りない場合にはアンプを使うというオプションはありますが、ノイズが大きければ(=十分なS/Nがなければ)アンプを使っても信号がノイズに埋もれて見えません。あるいは、光量があまりに小さければ、手持ちのアンプの増幅率では十分ではないかもしれません。1チャンネルでいいので、動いていることを確認できれば、こういった諸々の心配を払拭することができます。

複数の同じモノを使う実験では、量産の前に当然プロトタイプを作ります。そのプロトタイプを使い、色々な角度からテストを行い、そのプロトタイプの性能で本実験で必要とする性能を満たしているか評価します。プロトタイプの製作とテストなしに本実験で使用する物を大量生産するなどということはありえません。学生の実験といえども、そのプロセスは一緒であるべきなのですが、実験に慣れていないからなのか、学生さんにその手順を踏んでもらうのにはなかなか苦労します。

今は研究室の4年生の卒業研究について書いていますが、1年生の実験の授業でも毎回同じことを感じます。たとえば、Bordaの振り子を使い地球の重力加速度を測る実験では、振り子の100周期を10回(実際には10周期ごとのラップタイムを200周期目まで記録します)測定して、その平均値から重力加速度を求めるのですが、測定ミスを防ぐために、まずは10周期1回の測定を行い、その結果が変なことになっていないか確認することを学生に口をすっぱくして言うのですが、これをなかなかやってくれません。大量に測定することがあると思うと、それが面倒なので、とにかく面倒なことを先に片付けたい。結果は後で考えるとして、まずは測定を終えたい、と学生は考えてしまうのですね。

Bordaの振り子以外の実験も担当していますが、面倒が先にあると、結果を考えるより前にまずはその面倒なことを片付けたい、と多くの学生が考えるという共通点があります。で、測定を終えると結果を出す前に、測定器材を片付けてしまったりするんですね。それで測定が上手く行えていれば問題ありませんが、ミスっていると悲惨です。最初から(=測定器材のセットアップから)やり直さなければならず、学生からは非難の山です。そういうことがあるから、仮の測定を行い、最終結果を確認するまでは測定器材を片付けてはならない、と何度も繰り返し言うのにもかかわらず、です。

ちょっとずつコツコツと実験を進める。ワンステップごとに確認を行い、そこまで上手く行ってることを確認してから次に進む。量産はとにかく最後にする。こういうことは実験のコツなので、学生にはぜひ身に付けて欲しいことなのですが(難しいことではありませんし)…そんなに実行するのが難しいんですかね。
大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<年の瀬 | HOME | 来年度予算案>>

この記事のコメント

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |