ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

年末研究発表会

一昨日のエントリーでは、私がどういう物理に興味を持っているか書きました。雑事に追われてもこの業界にいる理由として、素粒子物理が好きだからと書きました。が、もう一つ大切なことがあります。

もし高エネルギー物理学をやりたいだけなら、今の職には就かなかったと思います。前はフェルミ国立加速器研究所というところで働いており、自分の研究という面だけ捉えたらはるかに好環境でしたし、ぶっちゃけ給料も今よりもだいぶよかったですし、パーマネントのポジションでしたから、のうのうと自分が好きなことを自分が辞めたいと思うまで続けていくことができました。どういうプロジェクトをやりたいか自分で決められる立場だったので、LHCをやりたかったら、大きな研究所のグループの一員として今よりも大きな顔をして研究をすることができはずです。

でも、色々迷って、結局日本に戻って来ようと思ったのは、いえ、日本の大学にポストを探そうと思ったのは、自分で研究をやるだけでなく、若い人を育てたい、グループを作りたい、そういう気持ちが大きくなってきたからです。こういう背景と素粒子物理が好きという単純な動機が絡み合って、雑用だらけの大学の内外での業務に日々耐えているというのが、私の心象風景です。

そんな私が楽しみにしている企画の一つは、隣の研究室との合同年末研究発表会です。2つの研究室の合同で、学生さんが研究内容を発表します。それが昨日あり、今回も色々楽しめました。個々の学生の研究内容も面白いですが、隣の研究室と私たちの研究室の方針の違いが全体として見て取れる、というのが私にとっては興味深かったです。一つだけ残念だったのは、私たちATLASグループの博士課程の学生2人が時差の関係で発表会に参加できなかったこと。やはり、彼らの解析内容は、物理という観点から非常に高いレベルにあり、検出器のR&Dばかりの発表会にならないように混ぜ込みたい内容でした。まあ、学会のときに代わりに頑張ってもらいます。

で、毎年感じるのは、私たちの研究室の学部4年生の研究というのが非常に良い経験になっているなぁ、ということです。金を出せば既存で性能の良い検出器を使うことができ、簡単にやりたい測定ができてしまうかもしれません。しかし、測定に必要と思われる最低限の性能を推定し、その性能を満たすべく研究室にころがっている物を利用して検出器を作り…というプロセスを自分たちで一から行っていけるというのは、実験屋として非常に貴重な経験です。今は気付かないかもしれませんが、他の研究室では得られない素晴らしい経験だと思います。

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