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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHCの故障

9月10日にLHC開始ということでマスコミに大々的に報道されたのはよかったですが、その直後の19日(日本時間だと20日かもしれません)に故障したというのは、タイミングが悪かったですね。私たちにとっては、加速器が予定通りに動くということは奇跡みたいなもので、特に実験の立ち上げの時期というのは、色々な初期不良を克服していく時期と捉えています。なので今回のヘリウム・リークに関しても表現悪いですがそんなには驚きませんでした。ただ、何しろあれだけ大々的に報道された後で、マスコミの関心が高かっただけに、情報の伝わるのが早いのには驚きました。

色んな人に故障のことを聞かれましたが、うちのかみさんいわく、子供の通う幼稚園のお母さんがたまでこの故障のことを知っており、故障したのは「◯◯くん(=私の子供の名前)のお父さんのやってる実験」と言われてたそうです。びっくりです。私がやってる実験についてすっかり認識されてしまったようです。
……って、加速器の故障は私たち物理屋側ではどうにもできないんですけどね。

それはさておき、これだけ情報を浸透させることのできるマスコミの力というのは本当に恐ろしいです。報道してもらうのはとても良い宣伝にはなるわけですが、そのあといつ棒を外されるのかとヒヤヒヤしてしまいます。わかりやすい例だと、ボクシングの亀田兄弟ですか。そうならないことを祈っています。

話を戻すと、故障の後の計画変更まで報道されてましたね。当初2ヶ月間と発表していた故障期間が来年まで延びる、と。この辺どうなるか、私たちにもよくわからないんですよね。というのは、2ヶ月間というのは、超伝導磁石を一旦常温まで暖めた後、さらに超伝導状態になるまで冷やすのに必要な期間なんですね。修理そのものに時間がかかるというより、温度の上げ下げにかかる時間で、それを短縮することは現段階ではほぼ不可能です。で、故障前の予定では(どっかのエントリーで書いた気もしますが)、11月途中くらいまで5TeV+5TeVで実験をやって、12月中旬のクリスマスシャットダウンまでの間は、来年春に7TeV+7TeVを目指すべく、加速器の超伝導磁石の調整(粒子のエネルギーを上げても同じ軌道にするためには、より強力な磁場が必要です)をする予定でした。なので、もし2ヶ月で修理を終えられたとして、すぐに実験を再開するのか、それとも当初の予定通り7TeV目指して磁石の調整をするのか、検出器サイドでも非常に気になっていました。

実際のところまだどうするか決まっていないようで、私たちもCERN上層部の決定がどうなるのか耳をすましているところです。

[2009年7月23日追記]
LHCの最新スケジュールについてはこのエントリーこのエントリーをご覧下さい。


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