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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

核物理研究センターとか自由電子レーザーとか

昨日は疲れ果てました。

学部学生への講義はまあまあ上手く纏められ、自分の中ではホッとしたのも束の間、学生の引率者として全ての施設を見学して回るのは肉体的に無茶苦茶しんどかったです。広い吹田キャンパスを端から端まで歩き、大きな(面積だけでなく高さ方向にも)実験施設を上下左右歩き回り、本当にへとへとになりました。学生も当然疲れたのではないかと思いますが、話をすると明らかに私ほど疲れていません…。自分の年を感じさせられてしまいました。

それはともかく、実は私も吹田キャンパスへ行ったことはほどんどなくて、昨日見た実験施設3つとも初体験。ということで、こんなことやってるんだぁとわかって、それはそれで面白かったです。

見学した順番に見た施設を書くと、まずはレーザーエネルギー学研究センター。強力なレーザー源を持っていて、レーザー核融合の研究などを主にやっているそうです。次は産業科学研究所。名前からして素粒子原子核とはあまり関係ありませんし、ユーザーはほとんどが工学系。ではなぜそんな所に、素粒子原子核実験系の見学として行ったかというと、加速器そのものを作っている人たちがいて、電子を加速するための線形加速器があるからです。ただし、高エネルギー物理学用のものではなく、物性系の人が使用するための加速器で、例えば、最近流行の自由電子レーザーのための加速器開発だったりします。

自由電子レーザーというのは、加速器中の電子を磁場によって繰り返し蛇行させること(この装置をアジュレータと呼びます)で、放射光をまず取り出します。その光を鏡(みたいなもの)で、ある一定区間に閉じ込めます。鏡の間で光を行ったり来たりさせ続けると考えてください。この閉じ込められた光の位相によって決まるタイミング(閉じ込められた光と、放射光の位相が揃うように)で電子ビームを入射し続け、レーザー発振を起こさせる、というのが自由電子レーザーのアイデアです。普通のレーザーというのは、物質中のエネルギー準位によって光の波長が決まります。正確にはエネルギー準位の差に対応する波長の光が放出されます。ということで、固体レーザーでは取り出せる光の波長は物質に固有になります。ところが、自由電子レーザーなら、電子ビームから出て来る放射光のエネルギーを調整できますから、欲しい波長のレーザー光を得られるという利点があります。

しかし、固体レーザーでもそれなりに波長は変えられますし、なにしろ自由電子レーザーは普通の固体レーザーに比べて装置が巨大になります。私たち高エネルギー物理屋から見たら非常に小さな電子ライナックでも、一般的な実験装置に比べたら突出して巨大な装置になってしまいます。というわけで、自由電子レーザーだけでは応用面でそれほどオイシくはないのですが、固体レーザーでは得るのが難しい波長というのがあるそうで、例えばX線がその典型。そこでX線を発生させるための自由電子レーザーというのは各国で開発が進められています。ちなみに、自由電子レーザーを英語表記すると、Free Electron Laser。なので略称FEL。X線を発生させる場合はXFELと呼ばれます。

おっと、説明が長くなってしまいましたが、その電子ライナックのある産業科学研究所の次は、いよいよ核物理研究センター(RCNP)。素粒子物理学では全然使っていませんが、昨日、いえ一昨日書いたように、原子核物理学の世界では日本でも最大級の施設で、冒頭にも書きましたようにそこを歩いて見学する私はすでにへろへろでした。

RCNPの売りの装置は、陽子サイクロトロンとそれに付随した、中性子ビームラインと、電磁スペクトロメータ。なんだということを昨日学びました。いや、陽子サイクロトロンがあることは知っていましたが、他に何があるのか全く知りませんでした。原子核の人々には良質なビームを提供する施設として有効利用されているようです。が、私たちにとってはいかんせんエネルギーが低過ぎます。サイクロトロンの最高エネルギー(じゃなくて運動量かもしれません)は400MeV。もう少しエネルギー大きければ検出器のためのテストビームとして結構使えるのではないかと思うのですが…。あっ、しまった。強度がどれくらいなのか聞くの忘れてました。

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