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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

空気

数多くの、色々な種類の、色々な組織の会議に参加する今日この頃ですが、会議での結論って何で決まるかというと、結局はその場の「空気」で決まることが多いように思います。特に日本人の会議ではこの傾向が顕著だと個人的には感じています。では、その空気はなんで決まるかというと…根回しをしてあるならまだマシ(会議の前に違うレイヤーで議論されてるわけですから)ですが、そうではなくて、本当に何となくだったり、声のデカイ人の主張だったり、あとよくあるのは、その組織の中で暗黙の実力者とみなされてる人の意見で決まってしまったりしまいます。

「なんか変だなぁ」とぼんやりは感じても、その場の流れ、空気に押されて反対意見を言えないことが多いと感じるのは私だけでしょうか。歴史上、狂気としか思えない行動に走った組織がたくさんありますが、そういう組織も最初は途方もなく狂っていたわけではなく、「空気」によってある方向に流れができ、その流れが大きくなって誰も反対できなくなって、とてつもない狂気に走っていったのだと考える人が多いのではないかと思います。私もそう思いますし、最近はそれを体感する機会が多く、会議等で「ノー」と言える「空気」を作ることが大事だと強く感じています。

具体的に、私がズルい、卑怯だと思う議論の展開は、倫理的、心情的にネガティブな発言をしずらい方向に持っていくことです。例えば、大学の会議で学生に対するとあるプログラムの存続について議論したとします。このプログラムは、学生からの支持も受けていますし、やらない場合と比較して教育効果があることは確かです。プログラムを走らせるためのリソースが十分あるなら議論なんてせずとも、誰もが続行すればいいと思うプログラムです。が、問題は、大学のリソースには限りがあり、そのプログラムを走らせることで、他のもっと重要なプログラム(本来なすべき本業)、例えば、講義の準備、研究室の学生への指導、世界最先端の研究を推進する時間等が制約を受けてしまうことです。いっちばん大切な事柄に割く時間が大幅な制約を受けるのは本末転倒もいいところです。にもかかわらず、「このプログラムをやることはいいことだ、だから続けるべきだ」という議論展開をする人がいるんですね。

「良いこと」なのはみんなわかってるし、できればそれを続けたいと思っているので、そういう意見に正面から反論するのはしずらいわけですね。あるいは、ここでも「空気」が重要なのですが、そういう場で「私にはできない」と言うのは抜け駆け(という表現が適当かわかりませんが)のようで、他の人が頑張っているのにノーとは言えない、的な雰囲気ができちゃうときがあるんですね。でもって、そういうインパール作戦支持者は、必ずと言っていいほど、心情的にノーといいずらい雰囲気に持っていくんですよ。議論の本質は、良いか悪いかではなく、そのプログラムを続行することによるメリットとデメリットを定量的に判断(するのは難しいですが)、あるいは推測して、トータルで考えてどうするべきか、なのに、いつの間にか「良いことだから」を全面に押し出すのです。

これって結構危険で、最終的には結果はともあれやることに意義がある、頑張ることに意義があるんだ、という流れに進みやすいです。もうこうなると、まともな議論ではなく、俺はラーメン食いたい、私は寿司を食べたい…というような単なる言い争いになります。とあるプロジェクトをやってる人たちがいるのですが、第3者的には明らかに中止した方がいいプロジェクトというのがあったとします。1940年代後半の日米戦争のように、やる前から負けが明らかなプロジェクトだったり、研究グループというのが存在したとします。こういう人たちとの議論は本当に不毛になります。俺たちは頑張ってるんだから続けさせろ、の一点張りです。表現は違っても本質はこの主張だけです。

とまあ、インパール作戦を大好きな人が大学、というか私たち物理学専攻でしょうか、には多くて辟易しているのですが(大学以外にももちろんいますけどね)、原子核理論のSさんはその被害者かもしれません。インド出張中に心筋梗塞で倒れ、手術をしたそうです。幸いなことに快方に向かっているそうですが、本当に驚きました。昨年度は、物理学科関連の教員が2人も自殺しましたし(そして、その事実は大学はすぐに隠すのにも驚きました。親族からの要請なのかもしれませんが)、本当に真面目にできないことはできないと皆で言う時期が、私たち物理学科には来ているのではないかと思います。じゃないと、狂気に走った組織と一緒です。

なんてことを書いているとテンション下がってきましたが、今日の午後は、奈良女でセミナーをやります。少しでも素粒子物理に興味を持ってもらえるよう面白い講演をしなければなりません。それにはテンションが大切。こんな下がったテンションではダメです。昼飯でも食べてハイにしなければなりませんね。

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