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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

クォーク・グルーオン・プラズマ

が、CMSというLHC実験の一つで見えた、というのがここ数日話題になっています。

クォーク・グルーオン・プラズマというのはその名の通り、クォークとグルーオンがプラズマ状態の振る舞いをしてることです。って、これではなんのことかわからないかもしれませんが、私もよくわかってないので、私の以下の説明は眉に唾をつけて読んでください。

クォークはまあこのブログを読んでる方なら何のことがご存知だと思います。グルーオンも同様かと思いますが、一応説明しておくと、強い相互作用を媒介する粒子で、クォーク同士をくっつけてる接着剤みたいなものだと思ってください。そのおかげで、クォークが束縛状態を作り、陽子やら中性子やらπ中間子やら…といった粒子が存在することになります。ただ、こいつらは通常では単独では存在せず、常に束縛状態を作っています。だからこそ、私たちが観測できる粒子というのは陽子、中性子、π中間子…となるわけです。

なぜそうなるかというと、強い相互作用というのは素粒子同士の間隔、つまりクォーク同士の間隔が広ければ広いほど強くなるという性質を持っているからです。2つのクォークを引き離そうとすると無茶苦茶莫大なエネルギーが必要になりますが、逆に、2つのクォークが接近してる時は力が弱い(=自由粒子に近くなる)んですね。同じように(というか、素粒子物理学的には同じなのですが)、温度が低いときはクォーク間に働く力が強くなりますが、温度が高いとき、俗に言うビッグバン直後のような世界では、クォーク間に働く力が弱くなります。

クォーク間の距離が短い、あるいは温度が高い時に、クォークに働く力が弱くなると、今の我々の世界と違ってクォークとグルーオンが勝手にひょろひょろ飛び回ることになります。その様子をもってプラズマ(=分子が電離して、陽イオンと電子がごちゃまぜになってる状態)、すなわち、クォーク・グルーオン・プラズマ(=Quark Gluon Plasma = QGP)と呼びます。何をもってQGPと呼ぶかは私は完全に理解してませんが、アメリカのRHICという実験でQGPを観測したということになっています。QGPになるとクォークやグルーオンがうようよしてるスープみたいな状態になるので、その振る舞いを流体力学で記述できるとかできないとか。粒子が飛び出す方向やら粒子同士の相関が流体力学的に記述できるかどうかとか、そういったことがQGPの議論のポイントらしいですが、まあ、私に説明できるのはここまでです。

で、今回何が驚きかというと、QGPはイオン同士の衝突(RHICもそうでしたし、LHCでも時間を決めて、陽子・陽子衝突ではなくイオン衝突をさせます)なら生成されるが、陽子同士の衝突で生成されるとは思ってなかったんですね。そもそも、CMSというのは私たちがやってるATLAS実験同様、ヒッグスやSUSYを見つけようというQGPよりも、もっと高温(=もっと宇宙初期)の状態を探るための実験ですし。にもかかわらず、CMSがQGPを観測したというので、ちょっと話題になっています。CMSに一発屋がいたんですね、きっと。なかなかやります。

それはそうと、LHCにはQGPを研究するための実験もあります。ALICEといって、この辺りの物理を専門とする検出器なのですが、彼らがどうなってるのか気になります。

どんどん話題はそれますが、LHCには実はもう一つ検出器(衝突地点)があります。LHCbと言って、B中間子の物理に特化した実験です。というわけで、LHCには全部で4つ大きな実験グループがあります。

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