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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHC近況

数日前に、データクオリティのモニターをするシフトが昨日からの3日間入っていると書きましたが、LHCの運転再開が土曜以降になり、割り当てられていたシフトをこなす必要がなくなりました。自分の仕事が減ったのは良いのですが、収集するデータが減るということなので、あまり(全然?)喜べません。

では、ここ2週間のテクニカルストップでLHCは何をしているかというと、ビーム衝突を正面衝突ではなく、わずかに角度をつけて衝突させる練習をしていたみたいです。これまでは、ビームのバンチ(束)を加速器内にそれほど高い密度で入れていませんでしたが(何度か書いたことあるように、バンチごとの陽子数はすでにほぼデザイン値です)、これからさらにルミノシティを上げるためには入射バンチ数を増やさなければなりません。そこで、次のステップとしては、バンチを連続的に入射してトレインと呼ばれる構造を作ります。すると、バンチ間隔が狭くなり、正面衝突だと衝突したいバンチ同士だけでなく、本来は通り過ぎるべきバンチとも相互作用を起こしてビームが不安定になります。それを防ぐために、完全な正面衝突ではなく、ほんのわずかですが立体角をつけて衝突させる、ということをやります。

テスト自体はうまく行って、トレインを作ることにも成功しているようなので、一旦運転が再開されたら、さらにルミノシティが上がるのではないかと期待しています。ちなみに、年内はデータの収集量を最大化するというよりも、当面の目標とする10^32というルミノシティを達成すべく努力しつつ、データも頑張って収集するという方針で運転します。10^32にルミノシティが到達すれば、来年1年間のデータ収集で、2012年までの目標値である1fb^-1というデータ量を収集できるという目算です。

ところで、学会で講演を聞かれたみなさんは驚かれたかもしれませんが、ATLASでは、学生はグループで公認されていない結果を見せても(今のところ)大丈夫です。一方、スタッフはポスドクであっても、ブループ内で承認された結果しか見せることができません。なので、学生の講演は本当に最新の結果を見せるので、それなりのインパクトがあったのではないかと思います。多くの人が注目するSUSY探索の結果についても、グループ内の承認を得ていない非常にpreliminaryな結果だったので、見せられたことに驚いていた聴衆の方もいました。もちろん、何も見えていないという結果だから見せられたわけで、何か怪しいモノがあったら学生といえども見せることはできないんですけどね。ということは、学生でさえ結果を見せることができない、という講演があったら、それは…何を意味するかは想像してください。

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