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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

逆転の発想とニュートリノ実験

数日前のエントリーでMiniBooneというニュートリノ実験グループが、反ミューオンニュートリノが反電子ニュートリノに振動しているっぽいという、もし事実ならニュートリノ振動の現在の理解を越える現象を観測したことになる実験結果を論文で発表した、ということを書きました。案の定この結果をもとに幾つかの論文が出ていたようですが、私の目を引いたのは、スーパーカミオカンデを使って検証実験をやろうという提案的な論文が出ていたことです。

ニュートリノの実験は、宇宙線として降り注ぐ、あるいは宇宙線により生成されるニュートリノを使う実験以外は、ニュートリノ発生源ありき、で普通は実験計画を考えます。例えば、どこぞの加速器でニュートリノを生成し、そこから逆算してどこに検出器を作ればいいか等を考えます。あるいは、原子力発電所をニュートリノ生成源としたときも、同様な考え方で検出器の場所が決まります。

ところが、最近見た論文では、すでに存在するニュートリノ検出器、ここではスーパーカミオカンデですが、を使い実験をするために、スーパーカミオカンデからどれくらいの距離のところにニュートリノ生成源、つまり加速器が必要なので、そこに加速器を作ろう、というものでした。実現可能を抜きにして、普通の考え方とは逆の発想をしてるところが素晴らしいなぁと印象的でした。

でも、よく考えるとどこかで聞いたことがある話で、数週間前の研究室の論文紹介の際にY教授が紹介した論文が同じような内容だったことを思い出しました。それはスーパーカミオカンデを使うと言ってるわけではなくて、将来建設されるであろう大型ニュートリノ検出器を使い、その検出器から適当な距離だけ離れたところに小型の強力な加速器を作ろう、というアイデアを紹介する論文だったのですが、今回の話とよく似ています。

そういうわけで、そのアイデアには感心したのですが、では実際にそういう実験をやろうとすると実際問題としてはそんな小型で性能の良い加速器を(安く)作れるのか、ということが問題になります。高エネルギー実験もよりエネルギーを上げようと思うと装置がどんどん巨大になって高価になってしまい、加速器技術のブレークスルーが待たれています。つまり、規模と値段がボトルネックとなってきている高エネルギー物理にとっては、小さくて安価な加速器開発というのは最重要課題の一つだったりします。

昨日Yさんと晩飯を食べた時もそういう話になったのですが、レーザープラズマ加速とか、早く実用化するために、医学関連の人たちと協力して開発速度を速められないものですかね。加速器の専門家と話をすると、実用化なんてまだまだ遠い先の話だよと一笑に付されてしまうのですが…やっぱりそんなに難しいんですかね。

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