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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

公平感

とある経済学者の書いた本で知ったのですが、日本人というのは世界的にみて稀にみる競争嫌いの国民なんですね。って、そんなことちゃんとした調査をしなくても誰もが肌で感じてることかもしれませんが、設問はこうです。「資本主義は競争をもたらし、貧富の差を生むが、トータルでみたら社会全体としてプラスだと思うか」というアンケートを世界中でやったところ、先進資本主義国はもとより、BRICs諸国、そこまでまた発展してない国々あわせても、ダントツで日本はノーと答える人の比率が多いんだそうです。さらに、「国は、富の再分配によって貧しい人を助けるべきだ」という設問に対してイエスと答える人の比率がこれまたダントツで”少ない”んだそうです。

…なんか、日本ってすごーく嫌な国じゃないですか???

日本以外の多くの国では、競争によって社会が発展し(効率化が進み社会全体の富は増える)、その発展によってもたらされた富をちゃんと再分配して貧しい人を助けましょう、という考えが、実践されてるかどうかは別として定着してるわけですよね。それが、日本の場合は頑張って働くのは嫌。弱い人を助けるのも嫌。という数日前に書いたバラマキ大好きのクレクレ星人ばかりということが、こういうことが研究でも証明されてしまうというのは日本人として辛いなぁ、と思う今日この頃です。

あ、いや、物凄く長かったですが、ここまでは前フリで、今日ふと思ったのは、人間はどういう時に不公平感を感じて、どうしたら公平感を保てるのかな、ということです。大型実験で多くの人間が凌ぎを削っているATLASのようなプロジェクトでは、多くの人間が公平感を感じていないとモチベーションが当然下がり、全体としての効率が下がります。もちろん研究者というのは、人がどう考えていようと好きなことを好きなように研究するという面もあるのですが、実際問題としては、自分自身の達成感と他人からの評価が一致していないとモチベーションが下がってしまいます。

で、長かった前フリに繋がるのですが、日本人の場合は評価、あるいは資本主義に沿うと収入が同じじゃないと公平ではないと感じる人が、他の国に比べて多いらしいんですね。それに比べて、何かをするチャンスが平等に与えられていないと外国では、特にアメリカあたりでは、不公平だと感じる人が多いんだそうです。で、さらに面白いのは、結果(あるいは収入)に差がつく原因が何だと思うか尋ねると、相対的に、コネだと思う人が日本では多く、本人の能力・才能だと思う人が外国では多いんだそうです。自分が肌で感じてる印象と無茶苦茶一致していて、この調査結果を相当信じてしまったのですが、まあとにかく、公平感というのは個人によっても当然違いますし、国や民族によっても違うというわけですね。

ところで、この公平感というのは、人間が本来持ってる感覚ではなくて、きっと後付けの感覚・常識・ルール・マナー…ですよね。だって、2歳児くらいに好きなお菓子をあげたら好きなだけ自分で食べてしまいますが、幼稚園児くらいになると、友達とお菓子を分けるということを”学んで”います。だからこそ、上の段落で書いたように公平感の感度や定義が国によって違ってるわけですよね。とすると、これまた数日前に書いたエントリーで出てきた最後通牒ゲームをやると、国や民族によって結果にかなり差があるはずで、それがどうなっているのか興味あります。

最後通牒ゲームが最近2回も話題にあがったので簡単に説明しておくと…2人でやるゲーム(?)で1人を親に、もう1人を子にします。ある金額、例えば1万円、を毎回2人で分けるのですが、親がその分け方を決めることができます。5千円づつにわけてもいいし、9999円と1円にわけても構いません。ただし、その分け方を子が同意しないと2人ともお金をもらうことができない。親と子は相談はできない。というゲームです。

経済学などが前提とするのは、自己の利益を最大化するような合理的な考えです。端的には、もし子なら、相手の提示がいくらであってもイエスというのが合理的な行動です。親と子は交渉できませんし、今問題にしてるのは相手の利益のことは除外、自分の利益だけ、を考えなさいという設定ですから。相手の利益を考えなければ、自分の利益だけを考えたら、1円でも貰っておいたほうが貰わないよりは得だということです。

ところが、大抵の人は1円なんていう提示を受けると拒否してしまいます。1円どころか、千円、あるいはもっと提示されないと拒否してしまうのだそうです。これはまさに公平感のなせる技(?)で、経済活動は利己的な部分だけではなく、利他的な部分があるということを示す有名な実験結果(?)です。

この最後通牒ゲームを色んな国の人にやってもらうと、子がイエスという妥協点がどういう分布になるのか面白そうです。きっと、有名なゲーム、実験ですから、行動なんちゃら学みたいな研究でされてるんだと思いますが、国際協同プロジェクトで、日々、外国人と交渉をしてる私たちにとっては、単なる興味ではなく日々の交渉の道標としても興味があります。

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