ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ニュートリノ振動

今朝新聞でこんな記事を見かけました。「ニュートリノ振動の初の直接間接?ん?なんだそれ」と一瞬思いましたが、ニュートリノappearanceのことに違いないと約1秒後に気づきました。しかし、T2K(茨城県東海村のJ-Parcという加速器で生成したニュートリノをスーパーカミオカンデに打ち込むという実験です)でそんなに統計を貯めてるわけないし、フランスのDouble Choozという実験もあったけど、そこでappearanceって見えるんだっけ?いや、原子炉だから反電子ニュートリノのdisspaearanceだったような…ごにょごにょと考えること約10秒。いずれにせよ考えてもわからない、ということですぐにT2KをやっているYくんにメールを書きました。他にもKEKのMくんとかT2K関係者に親しい人はいるのですが、Yくんは私の知っている人の中でも最高のウェブサーファー。なにしろ私よりも私のこのブログのことに詳しいくらいですから…。ということで、この業界きっての(?)情報通Yくんにメールしたのでした。

すると案の定、appearanceの話。CERNから同じニュートリノビームを遥か遠隔地に入射するOPERAという実験グループの話で、こんな記事こんな記事(英語です)を紹介してもらいました。ダークマター探索とかの話と一緒で、イベント"候補"が出ただけで、背景事象という偽信号の予想値などについては全く触れられていません。Yくんの話では、これからセミナーなどで一斉に結果を発表するらしいので、その結果待ちですね。って、ごめん、Yくん。今気づきましたが、CERN所長がCERNユーザーに向けてプレスリリースの内容をメールで送ってました。ははは。

ところで、今まではdisappearanceと言って、ある種類のニュートリノが別の種類のニュートリノに時間が経つと変わってしまうためにニュートリノの数が減っている現象を観測してきました。例えば、μニュートリノの数が減っていることからニュートリノ振動を結論付け、その変化の先はτニュートリノだと考えられていました。今回のは、μニュートリノの数が減っていることだけではなく、変化して現れたτニュートリノを観測した、というのがポイントです。先に出たT2KとOPERAだけでなく、アメリカのフェルミ国立加速器研究所からミネソタの検出器にニュートリノビームを打ち込むMINOS実験も同様のチャレンジをしていました。日本からも参加している大学があるので、あまり無茶なことは言えませんが、OPERAというのは私の中ではダークホースでした。本当だったらなかなかの快挙です。

さらに補足ですが、ニュートリノに質量があいとニュートリノ振動できないので、ニュートリノ振動がニュートリノが有限の質量を持つことの証拠と考えられています。また、数が減るだけならニュートリノ振動でなくても、例えば、ニュートリノが崩壊しててもよかったりするので、ニュートリノ振動の観測初期ではその辺に関して細かく議論されていましたが、今では事象数がたくさんあって、数が減ってるだけではなくその後増えていることまで("振動"なので、減りっぱなしではなく、sin曲線です)綺麗に見えています。

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この記事のコメント

しつこいですが、私の論文
http://arxiv.org/abs/hep-th/0407057
http://nisimiyu.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-ad54-1.html
からリンク)では、

1.ニュートリノの質量が小さくなければいけないことは、Dirac方程式の
ラグランジアンの質量項が発散しないという無矛盾条件から、

2.具体的に0でない質量を持つことは、弱超電荷が電磁電荷と直交せず、
電子の電磁質量を計算すると荷電半径0での発散が打ち消すことから、

3.柳田勉指導教官のように大質量の新粒子を仮定する必要はなく、
標準理論の枠内で必然的に

説明できたように思います。ぜひご一読の上、ご感想をお聞かせください。
(2.は、裸の質量は0でも弱い力を含む相互作用で摂動的に有質量になる、
という考えです。)

私はこの博士論文元原稿のために、大学院で7年間アカハラを受け、
東京大学を卒業してすぐ就職したら稼げていた筈の2千万円を失いました。
私の主張が合っているならノーベル賞を下さい。
2010-06-08 Tue 07:36 | URL | nisimiyu(西川美幸) [ 編集]

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