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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ついでにLHCの近況も

基本的には加速器の調整に多くの時間を使っています。LHCにどうやってビームを入射するか、ビームの軌道をどういう磁石のセッティングで安定させるか、衝突地点でビームを絞るための調整、などなど私にも把握しきれていませんが、とにかく大きな加速器で(無数の部品があり、無数の調整の自由度がある)、しかも電線があるわけではないのに円周27kmに渡って荷電粒子を回すというのは、とてつもなく大変なことです。さらにそのビームを直径数10μmに絞りそれらを衝突させるというのですから、気の遠くなるような作業です。

最近はバンチ数を13にまで増やし、それぞれのバンチにはa few ×10の10乗個の陽子を詰めているようです。数日前には2x10^29のルミノシティに達しました。ただ、上で書いたように基本的には加速器の調整に時間を割いていますので、物理のためのデータ収集時間というのはまだそれほどありません。加速器の人たちが仕事をしない週末に物理のデータを収集するというのが、やはりここCERNでもパターンになっているようです。

それでもわずかな統計のデータを使い、物理解析は精力的に進められています。もちろんまだ多くの人が期待するような新発見を探るような段階ではありませんが、検出器が設計された通りによく動いていることを示唆する結果が多く得られています。私はLHCが4つ目の実験なのですが、これほど実験開始時に検出器が精度よく動いている実験というのは初めてです。って、まあ、一昨年に実験が始まる予定でそれに合わせて準備が進められていたので、十分検出器の調整をする時間があったというのは大きいんでしょうね。それに、やはり人が多いです。一人一人は大して働いていなくても、注ぎ込まれている延べ時間はハンパではなく、非常に細かなことまで準備が行き届いているという印象を受けます。

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この記事のコメント

先日北京で会議に出てたらATLAS最初のWというのを見せてました。その後、面白いEventは出てないのでしょうか?
私がOPALにいた頃はEvent Displayで面白いEventを探して楽しんだものです。それ専用のHotline Eventset というのが定義されてました。
CDFにもExpress streamというのがありましたが、ATLASはどうなんでしょう?
あと、どうでもいいことですが、 北京ではこのブログは遮断されていて見ることができませんでした。
2010-05-26 Wed 20:51 | URL | 中村@Belle [ 編集]
> 先日北京で会議に出てたらATLAS最初のWというのを見せてました。その後、面白いEventは出てないのでしょうか?

特に話題になってるものはありません。ルミノシティが低くて、まだ
high pTのジェットも少ないので。しかし、Tevatronと違って
MCとデータがこんな実験初期なのに一致するのには本当に驚いてます。
シリコンのヒットの数とかまで合っててびっくりです。
デッドチャンネルの数からも明らかなのですが、やはり、時間を
かけて大勢でやってるだけあって、検出器のパフォーマンスが
相当いいようです。まあ、これからルミノシティが上がって
multiple interactionが激しくなるとどうなるかわかりませんけど。

> CDFにもExpress streamというのがありましたが、ATLASはどうなんでしょう?

あります。ExpressとCalibration用が特別にあります。
データを取ってから36時間以内にalighmentやビームの位置
等々を確認、必要があればコンスタントを作り直して、
その後データを本格的にプロセスします。

> あと、どうでもいいことですが、 北京ではこのブログは遮断されていて見ることができませんでした。

なるほど、害悪サイトなのですね。ははは。
2010-05-27 Thu 17:35 | URL | ExtraDimension [ 編集]

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