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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHC近況

LHCの実験状況が気になってこのブログを覗いている方も多いかと思いますが、最近はそれほど劇的な事件もなく、あまり書くことがありません。ビームのエネルギーを3.5+3.5TeVに加速、より多くの陽子同士を衝突させるためにビームを絞る、といった加速器側の調整が日々行われています。それに応じて、衝突が起こり、現状ではルミノシティが10^27程度。1バンチあたりの陽子数は10^10のオーダーで、たぶん今はそれぞれのビームがシングルバンチかせいぜい2バンチ。なので、原理的にはLHCにはオーダー1000バンチ(正確な数字忘れました。2000なんぼ?)入れられますから、バンチ数を増やせば10^30程度を達成できるくらいにビームが絞り込まれてる、ということになります。さらに1つのバンチあたりの陽子数も10^11程度までいけたはずですから(ここまでビームを入れるテストは既にしていたような…)、その効果も入れると10^31程度のルミノシティまで到達できる程度にビームが絞れている、ということなのかもしれません。

すみません、何書いてるかわからなかったかもしれませんが、まあ、加速器の調整を行いつつたまにビームの衝突があって、物理のデータをしょぼしょぼ取得してる。というのがLHCの最新状況だと思ってください。予定ではぼちぼち物理用のデータ収集が始まる(=加速器の調整はしないで、ビームが当たる状態で放っておく)予定なのですが、そういう予定表を何度も見てますから実際どうなるかはちょっとわかりません。

検出器側はというと、前にもお伝えしたように荷電粒子検出用のTrackerと言われる部分の調整はかなり進んでいますが、カロリメータはそこそこ大変そうです。というか、1回の衝突で観測されるエネルギーの総量などがあっていないのですが、カロリメータの調整がまだまだなのか、そもそも物理過程を完全に理解できていないからなのか、等をこれから調べないとなりません。

みんなが大好きな(?)超対称性探索では、超対称粒子の中で最も軽いものが検出器と反応しないため、エネルギーの穴(みたいなもの)が超対称性粒子の(間接)測定になります。もうちょっと詳しく言うと、陽子と陽子が衝突した際に、ビーム方向と垂直な平面では反応の前後で運動量が保存、つまり、全運動量はゼロになるはずです。普通の粒子は検出器で全て観測されますから(ニュートリノ以外)、ざっくり言うと超対称性粒子みたいなものがなければ、ビーム方向垂直平面上で測定する運動量のベクトル和がゼロになります。ところが、検出器と反応しない超対称性粒子があれば、そこに測定の穴ができますから、そういう事象があれば超対称性事象を見つけたことになります。

ということで、測定の穴を探すのが超対称性探索なのですが、測定の穴というのは一つ間違うと簡単にできてしまいます。わかりやすい例だと、検出器が一部分故障してたら穴になりますし、検出器の反応が一様でない場合も凹みができてしまいます。しかも、測定の穴ですから、全ての検出器を使って穴を探索しなければなりません。つまり、全ての検出器がパーフェクトに動作、もしくは動作していない検出器がどこなのかを理解していないと、真の穴を探すことはできません。

そんなわけで、今は色々な検出器の調整を進めていて、全ての検出器の測定結果の総和として得られる観測エネルギーの穴が、シミュレーションで予想される形になるか等が精力的に調べられています。

というようなことを説明していますが、本当は実験現場でそういう解析をしたくて堪りません…。普段は微妙に忘れてますが、実験や解析の説明をすると、いてもたってもいられなくなります。学生かポスドクだったら、自腹でもCERNに行ってしまいそうです。


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