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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

複数のビームバンチ

現在使われている多くの加速器は、高周波電場(RF)によって、陽子あるいは電子ビームが加速、あるいは軌道上に捕獲されて周回されます。このRFの波(=バンチと呼ばれる)に乗った粒子だけが加速器内を周回できるので、粒子は加速器内に連続的に分布するのではなく、RFの周期に沿って塊になって存在します。このRFの周波数がLHCの場合40MHzなので、すべてのバンチに粒子群を乗せると最小25ナノ秒間隔でバンチが加速器内を周回することになります。

ただし、技術的な問題等により、加速器内のいたるところで全てのバンチに粒子群を乗せることは難しく、さらに、今のLHCのように運転開始当初に複数のバンチに粒子を入れるということはしません。過去数週間の運転はいずれもシングルバンチ、つまり、リング内のある一箇所のバンチにのみ陽子を乗せていました。これを複数バンチにするのが次のステップだと、少し前のエントリーで書いたような気がしますが、その試験もどうやら成功したようです。

一昨日くらいに、片方のビームで2つのバンチにビームを乗せることに成功。昨日は、両方のビームにそれぞれ4バンチ陽子を乗せることに成功したようです。ちなみにシングルバンチのときは陽子の数が8×10の9乗くらいだったと思いますが(間違ってるかも)、最新の4バンチのビームでは陽子の数がそれぞれのビームで1.4×10の10乗と1.5×10の10乗。バンチあたりの陽子数は少ないですが、一応ビーム全体では粒子数が増えています。

着々と運転・調整が進んでいるようでいい感じですね。年内の運転は17日(16日?)までで、その後年明けまではクリスマス休暇。すぐに休むわけではなく、ビームを周回させないだけで色々な調整作業は行われますが、まあビームはしばらくお休みです。その後、年明けに運転開始の準備をして、LHCの運転再開は1月末か2月初めが予定されています。

検出器側としては年内に少しでもいいから本格的なデータ収集をして、検出器の較正などにそのデータを使いたいと考えて要望を出しています。LHC実験の一つALICEなんて、この間のわずか数10(100?)発のイベントを使って論文を書くらしく、ATLASでも何か論文を出すべし、みたいなプレッシャーが上層部からかかっているみたいです。しかし、一体何を論文にするんでしょう。ビームが衝突してめでたいね、という論文でも書くのでしょうか。長年待ち望んでいたデータなのでお祭り気分になるのはわかるのですが…なんだかなぁ、という感じがしてます。コンファレンスのproceedingsならわかりますけど。


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この記事のコメント

ALICEの論文、先週arXivに出てましたね。
http://arxiv.org/abs/0911.5430
内容はよくわかりませんが、出してくるのがすげーというか。。
2009-12-07 Mon 09:38 | URL | 横山 [ 編集]
> ALICEの論文、先週arXivに出てましたね。

うん、最初の衝突の2、3日後だったので驚いた。
本文中にも書いたけど、CERN上層部としては似たような論文はALICEだけではなく他の3つの実験からも同じタイミングで投稿させたい、という考えがあるらしい。LEPでどうだったのか知らないけど、TevatronではCDFとDzeroの間で同じような調整がありました。BelleとBaBarではPRLがそういう役目をしてたね(遠い目)。

しかし、解析の勢いは物凄いです。たった数10発のイベントを数百人が寄ってたかって解析してる。Tracking関係者だけで数十(百)人が数本のトラックを、カロリメータ関係者だけで数十(百?)人がジェットを探し…といった具合です。CMSではπ0のピークが見えたとか、ATLASではジェットが見えたとか見えないとか、こういう話で盛り上がっています。論文は、π0の発見、ジェットの発見、グルーオンの発見、そしてW/Zの発見とかで出すんだろうか…。ははは。
2009-12-07 Mon 13:41 | URL | ExtraDimension [ 編集]

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