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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

学生の発表

今回の出張の大きな目的の一つが修士課程の学生がミーティングで発表するので、それに立ち会うこと。ATLASの荷電粒子飛跡検出器は3つ(ミューオン検出器を除く)あるのですが(Inner Detectorと総称されます)、今週は、その3つの検出器グループが1週間に渡って重点的に会議をするID weekと呼ばれるミーティング週間でした。このID weekでこれまでの研究内容を発表するのが当面の目標で彼は頑張ってきましたが、その発表が初日の昨日ありました。

多くの日本人にみられるように英語に不安を抱える彼は、発表前に異常に緊張していました。普段は人を弄るキャラなのですが、今日は朝から「緊張してる」とずっと言い続けて、それ以外の発言がないほどでした。学会発表でもそうですが、私の場合、若い学生の発表は自分が発表するよりも緊張します。しかも、緊張というのは伝染するので、今回は私も内心では結構緊張していました。

で、発表。緊張しながらもちゃんと張りのある声で発表できて、英語での発表のデビュー戦としてはまずますでした。いっつも学生に言っていますが、英語がヘタクソでも内容が面白ければちゃんと人は話を聞いてくれます。今回の発表も、わざわざ大きなミーティングで発表させようと調整したくらいなので、人を惹き付ける研究内容だと思っていました。案の定、発表の後にたくさん質問やらコメントが出て熱い議論になりました。ということで、発表は成功。今回の出張の目的の一つは達成されました。

ところで、学生の発表にはcontroversialな内容も含まれていました。というか、発表内容の方向づけ(=研究の方向づけ)は私がするのですから、私がそういう方向へ持って行ったわけなのですが、それが熱い議論をもたらしました。そういうときに面白いのが人間模様です。controversialな提案に対してイギリス人のsoftware coordinatorが強く反対すると、今回の発表内容とは直接関係ないのですが、前に私と一緒に仕事をしていたイタリア・スペイン・ドイツ連合は私の意見をサポートしてくれるのです。

大きな実験グループ、それも国際協力型の実験になると、こういうことがよくおこります。Collaborationというのは名ばかりで、その中では戦争が繰り返されていています。で、日本人のグループと違うのは、どっちかが撤退するまでその戦争が続くことが多いです。落としどころを探る、みたいな面があまりなくて勝ちか負けなんですね。いや、もちろん、落としどころを探すこともあるのですが、一般的にはケリがつくまで戦い続けることが多いです。日本人の多くはこういう戦いが苦手、というか、戦いたくない人が圧倒的に多いので、大型国際協力実験を経験すると、あるいはその内情を知ったがために、大型実験を避けるようになる人が結構います。KEKのKさんからヤクザ呼ばわりされる私みたいなタイプの人間でないと、やっていくの大変なんでしょうね。特に小さな実験から移行してきた人にはツライものがあるかもしれません。私の場合、やってる実験の規模が徐々に大きくなってきたので、それで適応できているという面があるのかもしれません。逆に、学生時代の最初の実験が大型実験の場合は免疫ができて大丈夫なんでしょうかね。どうなんだろう?書いていて疑問がわいてきました。

まあ、それはさておき、孤立した部隊ではなく支援してくれる人々がそれなりにいてくれるのは心強い限りです。ただ、今回の論点に関しては相手の言うことも一理あるので、お互いが納得できる形に持って行くのがいいかな、と考えています。

さて、今回の出張の残りの目的は、数多くあるミーティングに出席して情報収集することはもちろんなのですが、これからのATLAS Osakaグループの戦略を立てるために、特に博士課程の学生の研究方針を固定するために、何人かの人と相談をすることです。これから数日間は、ミーティングの合間を縫って人と話をするのが仕事になりそうです。


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