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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

科研費の季節

9月と10月は、我々研究者にとっては科研費申請の季節です。最近は紙媒体ではなくwebを通して申請できるのですが、それでも研究者が申請後、所属機関の事務が応募書類に不備がないかチェックするので、学振の締め切りよりも所属機関の締め切りが2週間程度(?)早いのが通例で、私たちの大学では今年度の締め切りは10月28日のようです。

運営費交付金のような固定財源を減らし、競争的外部資金を研究費・教育費の中心とするという流れに乗って(踊らされて?)、どこの大学・研究機関でも競争的外部資金の獲得には非常に熱心です。聞いた話では、KEKではKEK内部での科研費応募の締め切りを9月末として、有識者(過去に大型科研費を取った実績のある人?)にダメ出しをしてもらうそうです。KEKだけでなく、他の幾つかの大学でも同様のことをしているそうで、いかに科研費が大学・研究機関にとって重要か理解していただけるかと思います。

ただ、教育にかかる費用と基礎研究にかかる費用を競争的外部資金にしてしまうというのは、かなり抵抗があります。教育とか基礎研究というのは、達成度のスケールがありません。世間一般で最も使われる達成度の尺度は経済的利潤、つまり、いかに儲けたかだと思いますが、基礎研究なんてそもそもお金で測れるような研究内容ではありません。一次的には利益を生み出さない研究であり、かつ、今は莫大な利益の基礎となっていても、研究当時には利益を生み出すとは思われていなかったりもします。教育も同様で、単に成績の良い学生を作る(敢えて作るという言葉を使いますが)のではなく、自分の頭でモノを考え判断できるようにするのが教育の目的だと思いますが、その達成度を測るは容易ではありません。

それから、教育と基礎研究を競争的資金でまかなうことの欠点は、長期のプログラムを組めないことです。優秀な人材を輩出したかどうかがわかるのは数十年後ですし、理論的な基礎研究が重要だと認識されるまでに数十年かかったりするのが普通なわけで、3年や5年潤沢に資金があったからといって、成果を生み出せるような世界ではありません。5年間潤沢な資金があれば目に見える成果を出すことが可能な応用研究とか、民間企業の製品開発などとは性質が全く異なるので、性質が全く違う世界の価値判断基準を持ち込むのは妥当ではないような気がします。ただそう言うだけでは甘えていると言われてしまうので、何か別の正しい価値判断基準を確立すべきなんだとは思いますが…難しい問題です。

話は逸れましたが、そういうわけで、科研費の申請書と格闘中…ではなく、申請しようか迷っているところです。というのも、とある事情により自分が書きたいと思っていたテーマで申請書を書くことができないので、それに代わるアイデアが必要だからです。何でも良ければすぐに書けますが、採択される期待値が低いテーマと内容では申請書を書くだけ時間の無駄になってしまうので、ちょっと悩んでいます。

そういえば、科研費ではないのですが、景気対策の補正予算(?)として採択された若手研究者の海外派遣プログラムの来年度出発分の公募がなかなか始まらなくて焦れています。今年度出発分の募集は予定通り行われて、もうそろそろ来年度出発分の応募が始まるはずなのですが、心配は政権が変わったことです。でなければ心穏やかに新規の応募が始まるのを待ちますが、今回は組まれた予算がそのまま執行されるのが微妙に心配です。


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