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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

土曜日の会議、というか勉強会

土曜日は朝から晩までニュートリノについての勉強会。とは言っても、ほとんどの時間は結局のところ、世界中で行われている様々な実験、あるいは将来系か行くのレビューでした。そもそもニュートリノ屋ではない私にとっては、Mさんの現象論の話をもっと長い時間聞きたかったです。というか、個人的な立場だったら、Mさんの話だけでも十分なくらいでした。将来計画なんちゃら委員というのになってしまっている立場上、他の話も聞いていましたが、いやー、私のような不真面目人間にとっては、一日中というのはやはり拷問です。ニュートリノの話をしに来ていたMくんにも、私が真面目に委員会に出ているのに驚かれました。
…そんな私のいい加減さを見抜かれていたために(?)、会議の書記をやらされてます。そうか、議事録をまとめないとなりません。うーん、大仕事だ。

ところで、ニュートリノの実験で今注目されている測定量は主に3つです。違う種類のニュートリノは混合(=これがニュートリノ振動という現象で、スーパーカミオカンデによって初めて実験的に検証されました)するのですが、その混合の割合を記述する物理量が混合角と呼ばれます。例えば、ニュートリノには電子ニュートリノ、μニュートリノ、τニュートリノと3種類が存在するのですが、私たちがニュートリノを観測するのは弱い相互作用を通じてのみなので、電子ニュートリノうんぬんの3種類あると言った時の3種類は、弱い相互作用で区別される状態(こういう表現が正しいのかわかりません…。)が3種類あるという意味です。

が、実際には、物理的なニュートリノと言う意味では(質量の固有状態ということを言いたいのですが…)別な状態で存在します。便宜的にそれぞれをν1、ν2、ν3と呼ぶことにすると、電子ニュートリノ、μニュートリノ、τニュートリノそれぞれは、ν1、ν2、ν3の混ぜ合わせの状態なのです。つまり、私たちが実験を通じて観測するニュートリノというのは、ν1、ν2、ν3が混ざり合わさった状態で、その混ぜ合わせ具合によって電子ニュートリノとして観測されたり、μニュートリノとして観測されたり、τニュートリノとして観測されるわけです。その混ざり合い具合というのが時間とともに変化するので、あるときはμニュートリノだったものが、時間が経った後ではτニュートリノに変化し、それを人間が観測するとニュートリノ振動と呼ばれます。

おっと、説明のために脱線してしまいましたが、ν1、ν2、ν3の混ざり具合を表現するのが先に書いた混合角というわけで、独立な角度は全部で3つあることになります。そのうちの2個はスーパーカミオカンデを使った実験等ですでに測定されていますが、まだ一つだけ測定されていない角があります。その角度を測定しようというのが、近未来でのニュートリノ実験の目標です。

それから2つ目は、ニュートリノにもCP非保存現象があるのかどうか、です。あの有名な小林・益川理論と同様の仕組みでニュートリノ混合にもCP非保存を持ち込むことは可能なのですが、自然がそうなっているのかどうか確認しよう、というのが第2の目標です。

以上の2つに関しては、会議のときに東大のYさんも質問してましたが、"個人的には"あまり興味ありません。これら2つがわかっても自然のルールが何かわかるわけではなく、自然が選んだパラーメータの幾つかがわかるだけです。あ、いや、わかるだけでも凄いですし、誰かが測定しなければその先に進めないので、素粒子実験として進めていかなければならない最重要実験であることは間違いないと思っています(パラメータがわかったら、次のステップは、自然がなぜそういうパラメータを選んだのかということになりますが、そういう段階に進むにはパラメータがわからないとなりません)。ただ、個人的な嗜好という意味で、あまり興味を持っていないということです。

ですが、最後3つ目のダブルベータ崩壊の実験に関しては私も興味を持っています。ニュートリノの質量が極端に軽いことと絡んで、自然界には左巻きニュートリノは存在しますが、右巻きニュートリノが存在しないことが大きな謎です。さらに、宇宙には自然の状態で反物質が物質に比べて極度に少ない(=バリオン非対称)ことがわかっていますが、なぜそうなのかがわかりません。これらの事実を説明する鍵の一つが、ニュートリノがマヨラナ粒子であるためではないかと言われています。マヨラナ粒子というのは、粒子・反粒子の区別がない粒子のことなのですが…今日はすでにかなり長くなっているので、ダブルベータ崩壊に関しては、また明日にでも書いてみます。たぶん。


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