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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHC運転シナリオ決定

このエントリーで説明したLHC再開のシナリオですが、昨日プレスリリースがあって、11月中旬に再開。当初のエネルギーは3.5TeV+3.5TeVと決まりました。そのエネルギーでLHCの運転に慣れ、それなりのデータ量を蓄積したら徐々にエネルギーを上げて5TeV+5TeVを目指すという計画です。具体的にいつエネルギーを上げるのかは未定で、運転状況を見ながら判断することになるのでしょう。

2010年末まで走った後はシャットダウンして、エネルギーを7TeVまで上げられるように磁石の調整、トレーニングを行うというのはずっと前からの既定路線で、この点に関しては変更ありませんでした。

3.5TeVというエネルギーは陽子ビームを曲げるための超伝導電磁石にどれくらいの電流を""安全に安心して"流せるかで決まりました。例えば、超伝導電磁石がクエンチした場合、蓄えられていた電流をどこかに逃がさないとなりません。その逃げ道の抵抗を全ての電磁石について測定して、どれくらいの電流までなら安全か、ということを判断します。

同時に物理結果に与える影響も考慮しないとなりません。3.5TeVというのはTevatronの結果を強く意識したもので、例えばトップクォークの統計量だと、200pb^-1程度データを蓄積すれば、Tevatronと似たような統計量になります。またSUSY探索に関しても、100pb^-1程度あれば、Tevatronよりも高感度の探索が可能になります。

ということで、加速器側、物理側、双方の妥協点が3.5TeVというエネルギーでした。しばらく前からこの線で調整が行われていたようなので、内部の人間的には「あー、やっぱり」という決定でした。前にも書きましたが、D論を書かなければならない博士課程の学生が800人いますし、物理結果を出さないとならないポスドクもきっと同じくらいいるのでしょうから、物理側としてはこのエネルギーで何としても走ってもらわないとなりません。

電磁石の修理や測定はほぼ終わって、これから全ての電磁石を超伝導状態になるまで冷やす作業が行われます。トラブルなく実験が再開されることをとにかく祈ります。


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