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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

TDCの問題を発見

4年生実験ではミューオンの寿命を測定するためにTDC(Time to Digital Converterの略)というものを使っています。時間間隔を測定するための装置で、分かりやすい例としては、飛んでいる粒子の速度を測るのに使えます。ある間隔で置かれた2つの装置を粒子が通過したとして、最初の検出器を通過したときの信号ともう一つの検出器を通過した時の信号をTDCに入力することで、その2つの信号の時間差を測定できます。2つの検出器の間隔を測定してあれば、粒子の飛行速度を測定できることになります。

4年生は、宇宙線中のミューオンが検出器で止まったという信号と、止まったミューオンが崩壊して出す信号の2つの信号の時間差を測ることで、ミューオンの寿命を測定しようとしていました。測定した値は文献値と一致しているので測定自身は問題なかったのですが、TDCの振る舞いに理解不能な点があったので、昨日はその原因を解明しようとしました。

理解不能な点というのは、使っているTDCはフルスケールが11bit(12bit?)なのに、時間差0に対応するTDC値が500前後なのです。ダイナミックレンジを削り過ぎなので、どうもこのオフセットの大きさに納得が行かず、本当にそんなに大きなオフセットがあるのか昨日は調べてみました。

今までの測定からどうもオフセットが512に近いとわかっていたので、512に対応するビット(LSBから数えて10bit目)が常にONになっているのではないかと疑っていました。もしそうだとすると、11 1111 1111(一番右をLSBとしてます)の次は本来100 0000 0000(=1024)なのに110 0000 0000(=1536)となるはずです。つまり、TDCに入力する時間差が0に近いときはTDC値が512で、その後、時間差を徐々に長くしていくと、TDC値は1023までは順調に増えて行きますが、1023の次がいきなり1536になるはずです。

という仮説に基づいて、TDCに入力する時間差を調節してやると、まさに仮説通りで1023から1536までの値は出力されませんでした。ということで、気になっていた大きなオフセットは、TDCのbitの一つが常にONになっていたからだと理解することができました。問題を理解することができただけでその問題を解決したわけではありませんが、どこにどういう問題があるのかわかったという意味では非常に大きな進展でした。


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