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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHC再開シナリオ

このブログを見てる人の中には、LHCがいつ、どういう形(エネルギー)で再開されるのか気になってるかたが多いと思います。私自身も当然のことながら非常に気になっています。ちょっと前に色んな噂が流れているというエントリーを書きましたが、今日は現状での可能性、シナリオを3つ紹介します。今週ATLASのcollaboration meetingをやっていまして、そのときのスポークスパーソンのトークから得た情報です。

この問題の鍵はビームエネルギーをどこまで上げられるか、です。現状では5TeV出すためには加速器(bending magnetという陽子を曲げて周回されるための超伝導磁石)の性能が十分でない、というのがこの問題の根本です。

シナリオ(1)
今までのオフィシャルプランを変更しない。10月末からビームを出して11月くらいから5+5TeVで衝突。1年くらい走って200(100?)pb^-1の統計量を貯める。

シナリオ(2)
実験開始時期はシナリオ(1)と同じ。ただしビームのエネルギーは5TeVではなく、4TeVかそれ以下。1ヶ月か2ヶ月か3ヶ月か、とにかく短い期間そのエネルギーで走ってシャットダウン。シャットダウンの間に、ビームエネルギー5TeVでの運転に対する信頼度が上がるまで加速器を調整する。2010年の後半に5TeVでの運転を開始。ただし、再開からシャットダウンまでの間にどれくらいの期間データ収集を行うかは安定して運転できるビームエネルギーに依存します。というのも、3+3TeVで短期間収集したデータでは、Higgsはおろか、top quark生成などの物理でもTevatronの結果を上回ることができません。なので、3TeV以下の場合は本当にエンジニアリングラン(物理結果を出そうとするのではなく、加速器・検出器双方の運転の練習)で、非常に短期の運転の後シャットダウンになることが予想されます。逆に3TeV以上の場合はそれなりの期間(2、3ヶ月?)運転することが予想されています。

シナリオ(3)
実験開始を2010年の3月くらいまで遅らせて、5TeVでの安全運転が可能になるべく加速器を調整する。

シナリオ(1)は提示はされていましたが、(2)や(3)が議論されているという時点で、もうこのオプションはないとほとんどの人が思っています。で、(2)になるか(3)になるかですが、実験側としては(2)を希望しているようです。何年も開始が遅れ、博士課程に在籍中の学生が数百人(スポークスパーソンのトークによると800人?)もいるので、たとえちょろっとでもビームを早く出して、彼らに物理解析をさせたいという強い要望があります。博士課程の学生だけでなく、常勤ではないポスドクの人たちにも同じことが言えます。

いや、本当にどうなるのか、実験をやってる私たちにもわかりません。加速器屋さんに頑張ってもらうしかないのですが、CERNの評判も最近は急降下中です…。CERNの加速器屋さんというのはそれなりのクレジットがあったのですが。


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