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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

教科書

素粒子物理の実験屋によく使われているテキストって何でしょうかね。以下、ごく個人的な感想です。

いっちばん最初の入門はPerkinsかな、と思います。この世界の雰囲気を味わって、興味を膨らませることができるのではないかと。ただし、数学的な取り扱いはかなりひどいので、数式をきちっと定量的に追う、追えるためのトレーニングは別の本で勉強しないとならないでしょう。そういう意味ではGriffithsあたりがperkinsのペアとしていいかもしれません。ただ、個人的にはGriffithsの教科書は好きではありません。物理的な意味についてあまり言及せず、いきなり天下り的に計算の仕方を与えている印象を受けてしまうからです。

次のステップは(あるいは最初からこの本でもいいかもしれませんが)、Halzen・Martinでしょうか。1冊どれかを選べと言われたら、この本が一番バランスが取れていて好きです。日本語版が出ているのもちょっと嬉しい理由かもしれません。ただ、すでに絶版になったという噂も聞いたことがあります。もしそうだとしたら残念です。

日本語では坂井典佑(漢字あってるか自信ありません)さんのがすっきりしていてお気に入りです。が、これまた絶版になっていて、私が買おうと思ったときにはもう買うことができませんでした。本当に欲しいと思ったら中古を探すしかなさそうです。あと、長島さんの全4巻からなる教科書もこの業界の研究室に常備されてるくらいよく見かけます。4巻からなっているだけあって非常に詳しく、また、これまでに紹介した他の教科書よりも難しいです。分量のせいもあってゼミとかで通して使われるよりも、その詳しさから辞書的に使われているケースが多いように思います。

以上がよく使われている高エネルギー屋の標準的な教科書だと思うのですが、他にどんなのがありますかね。もしお薦めがあったら教えてください。

標準的ではないが、個人的に気に入ってるのは、AithisonとHeyによるGauge Theories in Particle Physicsというやつです。全2巻からなっていて、きちんと数式を追っているのですが、実験屋でもわかるくらいの易しさで書かれているように思います。それから、実は私の一番のお気に入りは出版されていませんが、東北大の山本さんが授業で使用した(?)講義ノートというか、テキストです。実験屋でもわかるくらい非常に丁寧にきっちりと数式をフォローしている上に、単に式を追うだけでなく物理の本質をきっちりと説明されていて、完成したら分量は多くなるかもしれませんが、私の中での圧倒的ナンバーワンの読み物です。もし出版されれば真っ先に買います。

標準的ではない、個々のテーマに沿ったテキストで多く読まれていると思うのは、私の場合、ヒッグス関連、SUSY、そしてCP violationに携わってきたのでその中で選ぶと、ヒッグスではHiggs Hunters's Guide、CP violationではダントツでBigi・Sandaでしょうね。SUSYはこれ、という決定版がないような気がしますが、一体どんなのがよく読まれているのでしょう。私が使っていて、自分のグループの学生とかに薦めているのはA Supersymmetry Primerという分厚い論文(というか、レビュー的な教科書)です。ワインバーグの第3巻あたりを読むのが一番いいのかもしれませんが、ワインバーグは実験屋の私には難し過ぎます。趣味として時間のあるときなら読めるかもしれませんが、仕事しながらでは到底読破できません。

ワインバーグと言えば、理論の人はどんな教科書使ってるんでしょうかね。この辺で一番よく見るのはPeskin・Schroederですが、ワインバーグとかもよく読まれているのでしょうか。

ここまで書いてきて感じるのは…日本語の教科書はやっぱり少ないですね。それなりに色々な本が出ているのではないかと思うのですが、なかなか広く読まれていません。なぜなんでしょうね。


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