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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

α、β、γ線

書くネタを思いつきません。そこで、先日のAuger電子のエントリに引き続き、4年生ゼミでどんなことをやったのか書いてみます。教科書の一番最初なので、放射線とはなんぞやみたいな、専門家ではない人に対しても説明しやすい内容なので。

一言にまとめると、放射線って色々あるけどその中でもα、β、γ線とは何か、というのが私たちがゼミで使っている教科書の出だしでした。

αというのは陽子2個と中性子2個からなる粒子で、陽子が2個あるので電荷は+2です。その周りに電子が2個ひっついた束縛状態ならヘリウム原子です。逆に言うと、ヘリウムの核子単体だったらαということになります。ですから、α線源と呼ばれる放射性物質は放射性崩壊をすると、原子核中の陽子数と中性子数がそれぞれ2づつ減ります。よって原子番号Z(=原子核中の陽子の数)は2減り、質量数A(=原子核中の陽子数と中性子数の合計)は4減ることになります。

βというのはβ崩壊と呼ばれる形式の崩壊で生成・放出される電子のことです。電子ではなく陽電子を放出する同様の崩壊はβ+崩壊と呼ばれ、区別されます。ではβ崩壊で何が起きているかというと、原子核中の中性子が陽子、電子、反ニュートリノに変化します。なので、上のα線の説明と似たことを書くと、崩壊前後で原子番号が1増えて(陽子が新たに1個できるので)、質量数は変化しません(中性子が陽子になったので、中性子数と陽子数の和は変化しません)。じゃあもう少し突っ込んで、中性子が陽子になるとはどういうことか考えてみます。中性子はuクォーク1つとdクォーク2つからなっています。陽子はu2つにd1つ。ということは、β崩壊では実のところdクォークがuクォークと電子と反ニュートリノに変化しているのです。dクォークの電荷は-1/3、uクォークの電荷は2/3ですので崩壊の前後で電荷がちゃんと保存していることにも注意して下さい(反応後はuクォークの電荷2/3と電子の-1を足して合計-1/3と、反応前と同じです)。このβ崩壊は自然界に存在する4つの相互作用の中の「弱い相互作用」というものによって引き起こされます。弱い相互作用というのは素粒子物理学を研究している人間にとって色々面白い性質があるため、β崩壊というのは研究上、学習上、非常に重要な物理過程です。

ちなみに逆β崩壊というのは、陽子が中性子と陽電子、そしてニュートリノに変化する崩壊過程です。陽子のほうが中性子より軽いので、陽子単体では逆β崩壊は起きません。原子核中の束縛エネルギーによって、陽子よりも中性子になったほうが安定な物質(原子)があるため、それらの原子で逆β崩壊が可能になります。詳しくはクォーク質量の生成というエントリの前半あたりを見てみて下さい。

最後にγ線ですが、γというのは電磁波のことです。ただ電磁波と言っても、波長の長いほうから電波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線と、波長によって呼び名が変わります。ということで、γ線というのは波長の非常に短い電磁波のことです。放射性物質では、より安定な(=低い)エネルギー状態になろうとして、低いエネルギー状態に落ちる際の余分なエネルギーをγ線として放出します。崩壊前の原子のエネルギーと崩壊後の原子のエネルギーの差が放出されるγ線のエネルギーというわけです。

というような内容を、4年生ゼミの1回目でやりました。ゼミではもう少し詳しくやりましたが、要約するとこんな感じでしょうか。


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