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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

Auger電子

昨日は4年生のゼミがあったのですが、むかーし昔に勉強してそれ以来耳にすることがなかった言葉が出てきたり、普段私のやっている素粒子物理の世界と違って、原子核、あるいは原子物理の世界の話になったりと、4年生以上に私自身が楽しんでいます。タイトルのAuger電子というのも「あー、そういうえば、そういうのあったな」という懐かしい用語です。

簡単に説明しておくと…
原子というのはこのブログを読んでる皆さんならたぶんご存知のように、陽子(と中性子)からなる原子核の周りを電子が囲んでいます。電子は勝手な場所にいられるわけではなくて、ある決まった軌道上に内側から順番に詰め込まれていきます。そして、原子核に一番近いとこに2個、その外側に8個、さらにその外側に18個…と言う具合に、それぞれの軌道に入れる電子の数にも決まりがあります。

ここで、なんらかの理由で一番内側にいた電子が消えてなくなったとしましょう。例えば、電子捕獲(電子と陽子が中性子とニュートリノに変化する反応)、あるいは、外からX線などが原子に入射されて内側の電子を弾き飛ばしてしまった場合、などです。電子軌道が内側にあるほど(他にも量子力学的な状態による影響はあるのですが、今はそれは無視します)エネルギー準位が低いので、エネルギー準位の高いところにいた、つまり外側の軌道にいた電子は内側の軌道に落ち込みます。すると、もともと高いエネルギーのとこにいた電子が低いとこに行くわけですから、その差が余分なエネルギーとして余ります。ということでこの余分なエネルギー(=外側のエネルギー準位と内側のエネルギー準位の差)を電磁波として放射するのが特性X線と呼ばれるものです。

ところが、外側の軌道にいた電子が内側に落ち込まずに原子の外に飛び出してしまうこともあります。この電子のことを発見した人の名前にちなんでAuger電子と呼びます。ちなみに、内側の軌道に落ち込む代わりに原子の外に飛び出したので、Auger電子のエネルギーもやはり外側と内側の軌道のエネルギー準位差のエネルギーになります(だいたい)。

というのがAuger電子の説明なのですが、こんなことすっかり忘れてました。Auger電子という言葉が出てきて、なんだっけ、と考えれば大体のことは思い出せますが、そうでなければ脳味噌のキャッシュからは全く消え去っていました(ハードディスクにはかろうじて保存されていたようですが)。この辺の話って原子核か下手すると原子物理、化学のカテゴリーで、原子核の下層構造の陽子・中性子のさらに下層構造であるクォークの性質を研究してる私にとっては、普段全く取り扱わない内容です。

一言で高エネルギー物理といっても対象とする物理のエネルギー領域は凄く広くて、こういう素過程が、ある粒子を検出するのに重要という実験もあるのですが、ここ数年の私の研究では全く扱うことがありませんでした。久しぶりに記憶をリフレッシュすることができて非常に新鮮でした。これからの4年生ゼミも楽しみです。


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