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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHCの故障の話とか

学会であった数日前の南部・小林・益川ノーベル物理学賞受賞記念セッションでは、加速器の話もありました。KEKの黒川さんという加速器分野の偉い人の講演は素人でもわりやすく、かつ、加速器のプロから見たLHCの凄いところなどが説明されていて非常に面白かったです。

特に印象に残っているのは、私たちだとLHCといえばその高いエネルギー、そして高いルミノシティ(=陽子陽子衝突の頻度の目安となるパラメータ)が一番に凄いと思ってしまいますが、加速器屋さんから見るとそれらは当然凄いことではあるが、それ以上に凄いのは加速器に蓄えられているエネルギーの大きさだと説明されていた点です。例えば、加速器には陽子を曲げるための超伝導電磁石がたくさん使われていますが、それらの電磁石に蓄えられているエネルギーは数GJ(ギガジュール)で、そのエネルギーは原子力航空母艦が約30ノットで走っているときの運動エネルギーに相当するそうです(戦闘機が空を飛んでいるときの運動エネルギーだったかも?)。同様にLHCリング内でビームとして蓄積されているエネルギーも同じくらいのオーダーのエネルギーなんだそうです。

とにかくそういうわけで、原子力航空母艦だか戦闘機みたいなエネルギーを保持する装置なので、何か故障が起これば去年の秋みたいな大きなダメージになるのはやむを得ない。逆に、なにがなんでも故障を防ぐ、あるいは故障が起きても大きなダメージにつながらない安全装置が最も重要だとおっしゃっていました。単に素人がそうだろうな、って感覚的に思っているのではなく、具体的な数値を出して説明していたので、非常に説得力がありました。

ところで、去年のLHCの故障は超伝導電磁石を繋ぐ部分の接触不良が根本的な原因だったことは、新聞等でも報道されていました。相手が超伝導ですから接触不良といっても物凄く小さな抵抗値だったと聞いていましたが、その数値を私は知りませんでした。その話にも触れていて、必要な抵抗値は0.35ナノオーム(=0.00000000035オーム)以下で、それが100倍くらい大きくなってしまったのがトラブルの原因だったんだそうです。

…35ナノオームですよっ。0.000000035オームです。普通のデジボルでは0オームです。というか、そんな低抵抗値をどうやって測るのは私にはわかりません。故障とか接触不良とかで話題になってしまいましたが、どれくらい難しい装置なのかということもマスコミを含めて一般の方にはわかってもらいたいです。

しかし、ホントにナノオームの単位なんでしょうか。私の聞き間違いの可能性もあるので、その辺は眉につばをつけて読んで下さい。でもポイントは、とにかく接触不良といっても、常識的には非常に低抵抗だったということです。


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