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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

Tevatron

私はATLAS実験に加わる前、今の職の前は、アメリカのフェルミ国立加速器研究所というところでTevatronという加速器を使った実験をやっていました。Tevatronというのは約1TeVの陽子と反陽子を衝突させる(衝突で使えるエネルギーは2TeVということになります)コライダーで、一言で言っちゃうとLHCを小型化したようなものです。

ここ数日、なぜか、そのTevatron時代の同僚によく会って色々雑談をしました。シリコン検出器というのをTevatron実験でもやっていて、その検出器関係の仕事を一緒にやっていた同僚(であり上司)とする話はやはりシリコン検出器の話です。私がSOIという新しいタイプのシリコン検出器に興味を持っているのと同様に、彼も色々な新型シリコン検出器の開発にかかわっていて、2年半ぶりくらいに会ったのに、昨日も会ったかのように共通の話題で盛り上がりました。ちと表現は違うかもしれませんが、同じ釜の飯を食ったというか、共通の研究テーマがあるというのは、友人として貴重ですね。

Tevatron実験ではD0実験というのをやっていたのですが、私がそこにいた当時のスポークスパーソン(実験グループのリーダーです)とも雑談して、今のTevatron/D0実験の近況などを聞きました。Tevatronはオフィシャルには2009年一杯走り、2010年度に関して議論してることになってますが、2010年度走ることはほぼ決定していて、今は2011年度どうするかの議論をしているようです。LHCが始まるのがどんどん遅れるので、彼らの実験期間もどんどん延びているようです。

たとえ5TeV+5TeVでも、200pb^-1の統計量でも、LHCが走ってしまうとSUSYなどの探索ではTevatronでは勝負にならなくなってしまいます。しかし、検出器のより正確な理解が必要となる解析テーマ(単にデータの統計量でなく、検出器の較正などに時間がかかる)なら、まだしばらくはTevatronのほうが優位であろう、という考えのもとに2011年度どうするのか相談しているんでしょうね。あと、一番大事なのは、ヒッグスの質量が120GeV付近と軽いときは、LHCでも発見するには実験が動き出してから4、5年(それ以上?)はかかるので、そこがTevatronの狙い目になっています。エネルギーは14TeVに比べて2TeVと7分の1しかありませんが、LHCと違って陽子•反陽子衝突というのがポイントで、軽いヒッグス探索に関してはSUSY探索などに比べてそれほど大きな差がありません。

これほどLHCの開始が遅れることがわかっていれば、Tevatronの計画も色々違っていたでしょうね。検出器のアップグレードを諦めたり、加速器のアップグレードも当初予定されたほどは行われませんでした。もしそれらをやっていたら、軽いヒッグスに関してはTevatronのほうが先に見つけていたかもしれません。

後になって振り返ると面白いですね。今のLHCも10年後、20年後の自分が思い返してみると、どういう感想を持つのか…興味津々です。


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