ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHCルミノシティとか

2018年もLHCは好調です。年末年始のシャットダウンから非常に順調に立ち上がり,ルミノシティはコンスタントに2×10^{34}超え。その後,ビームが不安定になりリングのある一箇所でビームをダンプしてしまうことが続いていましたが,それもその後の対策で改善したみたいです。今年だけですでに12/fb超え。去年は1.5×10^{34}でルミノシティレベリングを行っていましたが,今年はトリガー用の計算機資源の増強などによって,2.1×10^{34}くらいまではレベリングしないでも走れています。

BelleのUくんに最近よく聞かれることがあります。
「LHCのピークルミノシティの最高は?」
彼が気にしているのは,もちろん意味のあることではないのですが,世間に向けて「これまでKEKBがルミノシティの世界記録を持っていた」と言ってよいかどうか,ということなんですね。なので,私も下手なことを答えることができません。今知っている数字はオンラインでの数字なので,オフラインでは数字が変わる可能性があります。それから,ATLASとCMSでも違いますし。まあ,SuperKEKBによってすぐにルミノシティの世界最高を争うことはできなくなってしまいますが,極めて順調にLHCが稼働し,ATLASも頑張ってデータ収集しているということが重要です。

ルミノシティといえば,私,いつも気になっていたのは,バンチ交差あたりの陽子陽子衝突数です。単位時間あたりに発生する衝突事象数に,バンチ交差の時間間隔を掛ければ,バンチ交差あたりの衝突数です。ですので,断面積を80mb,ルミノシティを2×10^{34}とすれば,バンチ交差は25nsですから,
80mb × 2 ×10^{34} × 25 × 10^{-9} = 40
となります。実際には,LHCは全てのバンチに陽子を入れているわけではなくて,全部入れると2800くらい入りますが,2500くらいしか今は入れていません。すると,実効的というか,平均するとバンチ間隔は25ns × 2800/2500 = 28ns になるので,1割程度はバンチ交差あたりの衝突数が増えることになります。44とかですね。

ところが,実際には55近いの陽子陽子衝突がバンチ交差あたりに発生しています。この状況は,去年も同じで,1.5×10^{34}でレベリングしていたときに,ルミノシティとバンチ数からナイーブに計算した値よりも多くの衝突が発生していました。

そこで,LHCに25nsごとに陽子を詰めていくと何バンチ入るか数えてみると,1周約27kmありますから,25ns間隔(=光速で陽子が動いているとすると8.3m間隔)だと3250も入ります。入射やダンプのさいに空バンチが必要なのですが,それが400程度あるんですね。一回数えてみればわかることなのに,数えたことがありませんでした。。

というわけで,実効的には,25ns × 3250 / 2500 = 33ns間隔。すると,同じ計算式をもう一回書くと
80mb × 2 ×10^{34} × 33 × 10^{-9} = 53
となって,ATLASでの観測数とほぼ一致します。
いやー,すっきりしました。単純な計算も一度は自分でやってみないとなりませんね。

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