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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

大きな実験グループ内での主導権争い

私が今個人的に行っている検出器関係の仕事というのは、複数のデータベースにアクセスして検出器の情報を色々な角度から集め、検出器の振る舞いを理解するための汎用解析ツールの作成です。単にソフトウェア的な仕事をするだけでなく、同じような情報が複数のデータベースに蓄積されていたりするので、どのデータベースからどのエントリーを引き出せばいいのかも考えなければなりません。

私以外にも別のアプローチの仕方で似たようなことをやろうとしているグループが幾つかあります。ATLASのような大きな実験グループ内では、このように複数のグループが同じテーマに対して競争を繰り広げている、というのがある意味普通です。どのグループも、つまらないルーティンワークではなく、面白いテーマを見つけてそれをやりたい、という意志がありますから、どうしても主導権争いが起こります。

そういうわけで、巨大実験グループというのは名目はcollaborationですが、本当のところ内部では全くcollaborativeでなかったりします。むしろ他の業界と違って内部での争いなので非常に消耗します。例えば、通常の研究競争だったらどっちが論文を先に出すかとか、学会での論争とかですが、実験グループ内だと基本的に戦いが毎日続くわけです。ミーティングを毎日するとか、1日何十、何百というメールのやりとりがあるとか。最悪の場合、足の引っ張り合いみたいなことがあったりもします。あと、お互いのグループの思想の戦いになっちゃうことがあるんですね。みんな目指すゴールは一緒なのに方法が別で、お互いが自分たちの方法が一番だと主張しあうわけです。

なので、なるべく争いに巻き込まれないようにしながら、自分のやりたいことをやる、というテクニックも私たちの世界では必要です。例えば、重要でありながらまだ他のグループがやっていない研究ネタを探す能力などが必要なわけです。

で、話を戻すと、私が開発していたツールというのは昔から一応動作していたのですが、悲しいかなそれを使って実際の解析をする時間がなく、またコンピュータ環境のアップデートに付いていけず、狙っていた解析の一部を他の巨大グループに先取りされてしまいました。こっちは私1人でやっているのに対して、相手のグループでは5人以上のマンパワーを使っているのですから、まあ仕方ないと言えば仕方ないのですが…。

ここまで読んでもらうとわかるかと思いますが、こういう巨大実験グループ内では自分のやりたいことをやり通すには、一人ではかなり無理があります。意思の疎通のはかれる何人かでグループを作って対抗しないと、なかなか思うように事を進める事ができません。今まではそのための準備をしてきましたが、いよいよ4月からは博士課程の学生2人が一緒に研究を行います(今までは教育的配慮などから完全に別のことをやっていました)。

ということで、先行きが非常に楽しみな今日この頃です。


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