FC2ブログ

ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

DCDCコンバータ

検出器の物質量,特に,不感物質の量は少なければ少ないほどいいので,コライダーのように有感領域にケーブルを配線する必要がある場合,最近の流行り・進む方向として電源供給にはDCDCコンバータが使われ始めています。複数のチャンネルに並列に配線するよりもケーブルの数=物質量を大幅に減らせますし,ケーブルで消費する電力も抑えられるので一石二鳥。というわけで,私たちが開発しているATLASアップグレード用のシリコン検出器でもDCDCコンバータを使って送電します。

CMSでは去年入れ替えたピクセル検出器にすでにDCDCコンバータを使っているのですが,去年の運転中からトラブルが発生して,徐々に死んでいっています。信号読み出し用のASICが高い放射線環境なのでSEUを起こすのですが,それをリセットするためにはチップを初期化configしなおすのではなく,電源を供給しているDCDCコンバータのパワーリサイクルをしているのだそうです。なんでパワーリサイクルまで必要なのかは私は知りませんが,とにかく,パワーリサイクルが必要だと。ところが,パワーリサイクルをしようとすると,動作不良を起こすDCDCコンバータが表れ,去年の運転中はその数が着実に増えました。

あまりに増えるとCMSが走れなくなり,LHCではATLASだけあるいはCMSだけでは走らないというルール(?)があるため,LHC自体の運転を止めなければならない,なんていう事態が心配されます。それを年末年始のシャットダウン中に修理,原因解明を行うという話だったのですが,Oくんからの最新情報によると,壊れていたものは全て交換したが,なんでそういう問題が起きるのかの根本解決には至っていないということがわかりました。全部直したので,これからまた壊れてもさらに1年は走れるのかもしれませんが,とにかく,また壊れ始めるという可能性が高いというのは懸念材料です。1年走れば長期シャットダウンになりますから,それまでなんとか持ってくれればいいという考えがあるにはあるのですが,そのDCDCコンバータはCERN開発で実はこれから色々なところで使われる予定のものなのです。

ATLASのシリコンアップグレードでもそれを使用予定ですし,今日聞いた話だと,ミューオン関連のアップグレード,それもPhase-Iのアップグレードでもそれを使う予定だそうで,あちこちで不安の声があがっています。ただ,ミューオンの場合はそれほどSEUしないでしょうから,パワーリサイクルをそれほどしなくてよいのでシリコンほどは深刻な問題ではないかもしれません。が,シリコンのアップグレードでは対岸の火事というわけではなく,今後の調査に注目が集まります。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<準備色々 | HOME | 学位論文のシーズン>>

この記事のコメント

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |