ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ビームエネルギー上昇計画

HL-LHC計画のその先に,Future Circular Collider (FCC) 計画というものがあります。新しく周長100kmのトンネルを掘って,さらに,ビームを曲げて円軌道を作るためのdipoleを強力なものにして,重心系エネルギー100TeVを狙うというものです。そんなトンネル掘ったら一体いくらかかるんだ?という話ですが,そのスタディを真面目にやってる人がヨーロッパには結構います。実際の落としどころは,トンネルは今のトンネルを使って磁石だけ強力にしてなんとかエネルギー2倍,というのが多くの人が考えていることですが,物理に限らないことだと思いますが,新たな将来計画がないとその分野は魅力を保っていられませんので,いずれのオプションになるにせよ,そういった超将来計画が真面目に議論され始めています。

FCCはまだだいぶ先の話ですが,HL-LHC前にビームエネルギーを上げる計画というのも考えられています。もちろん,劇的な上昇ではなく,まずは,13TeVを14TeVに,そして,その後15TeV強まで上げられないかということが考えられ始めています。LHCは2019年と2020年の2年間シャットダウンをします。そのときに,整備とトレーニングを行って,2021年からはビームエネルギーを設計値の7TeVに,重心系エネルギーにして14TeVにする予定だというのは公表されていることですが,さらに,トレーニングを頑張ってビームエネルギーを7TeVよりさらに上げていることまで考えているのは,さすがです。トレーニングを頑張るだけでなく,HL-LHC用に開発しているNb3Snの11Tダイポールで加速器全体の1/3くらいを置き換えるという案までスタディしているのは恐れ入りました。(この場合,円軌道ではなく多角形みたいな軌道になりますね。)

実現可能性がどれくらいあるかは別として,先に書いたことに繋がりますが,少しでも新たな試みを行ない求心力を保つことを考えているのは見習わなければなりません。何事も新しいアイデアが必要です。

ちなみに,11Tのダイポールは,HL-LHCでは衝突点近傍にコリメータをよりたくさん入れる必要があり,そのスペースを作るために現行のダイポールを短くすべく開発中のものです。ビーム収束用磁石と同じNb3Snで,すでに長さの短いモデル磁石は完成しています。ただ,これを長くして,量産するのはかなり難しいものと思います。

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