ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

FCCのセミナー

午前中FCCのセミナーがあったのでそれに行ってきました。

どこからどこまでをFCCと呼ぶのかは定かではありませんが,今ここでは,CERNで将来やろうとしている周長100kmの円形加速器をFCC,今のLHCトンネルを使って磁石だけ変えて高いエネルギーを目指すものをHE-LHCと呼ぶことにします。今日のセミナーではどちらも16Tのbending dipoleを使うとして説明がされていました。今のLHCで7TeVのビームエネルギーだと8.3Tですから,リングの大きさが同じHE-LHCだと重心系エネルギーにして25GeV前後ということになります。周長が4倍のFCCだと100TeVということになりますね。
いずれにせよ,鍵になる技術はbending磁石です。今有力な線材はNb3Snで,HL-LHCの収束電磁石のプロトタイプが11Tだったか12Tを達成したというニュースが数ヶ月前にありましたが,さらにそこから4ないし5T上げないとなりません。磁場の強さもですが,Nb3Snは製造が難しくて歩留まりをあげるのが難しいので,収束電磁石と違ってbending磁石の場合は台数が多いことから,その点でもより難しい技術です。このブログでも何度も書いてる気がしますが,磁場の強さが陽子ビームのエネルギー上限を決めているので,多くの人間が注目している技術開発です。

磁石はさておき,今日聞いて驚いたのは,FCCではバンチ交叉あたりの陽子・陽子衝突数が1000になるという話と,陽子コライダーなのにsynchrotron radiationが顕著になってきて,その熱負荷がリング全体でなんと5MWにもなるということでした。両方共とんでもないですね。衝突地点でのビームの長さを聞き損ねましたが,もし今と同じ長さだとすると恐ろしいことになります。バンチ交叉あたり1000衝突でも2035年くらいになれば検出器も対応できるようになってるのかもしれませんが,なんとも壮大な話です。まあ,20年後ですから,それくらい平気になっているのかもしれません。熱負荷5MWというのもすごいですよね。超伝導bending磁石のために液体ヘリウムの冷凍庫がある中にそれだけの熱源があるって,不思議な状況です。私には想像もできませんが,冷却系も超最先端技術を使うのでしょうね。

あらゆる面で壮大な計画で,夢を語ることが少なくなったと最近批判される私ですが,今日のセミナーではいい夢をみてきました。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<出張はしご | HOME | PIP委員会結果>>

この記事のコメント

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |