ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

棒磁石で遊ぶ

昨日は,100円均一で買ってきた棒磁石を使って相当遊んでしまいました。

ことの発端は,阪大理学部のウェブサイトにあるQ&Aコーナーに寄せられた質問がきっかけでした。この映像を見ていただくのが手取り早いのですが,怪しげなリンクを辿るのは嫌だという方のために,思いっきり端折って言葉で説明すると...
棒磁石を4本用意しそれらを積んでいくと,横から見て(SNあるいはNSが1本の棒磁石だと思ってください)

(1)
_SN_
NSNS
_NS_
机机机

のようになるのが理解できない,というものでした。質問者の意図は,NとSが引力,NNあるいはSSは斥力だから

(2)
_NS_
NSNS
_NS_
机机机

が安定ではないかと思ったわけです。つまり,一番上の磁石の向きが(1)のようになるのが不思議だというわけです。しかし,磁力線の向きを考えれば

_SN_
NSNS

になるのが自然ですから,私自身最初はあまり驚きはありませんでした。質問者への回答についてはも磁場の向きを考えることや,モノポールはないことなどを使って,サクッと回答文案を考えました。しかし,(1)には気になるところが一箇所あります。そうです。一番下の向きが直感的な予想

(3)
_SN_
NSNS
_SN_
机机机

とは反対です。実際に,Belle実験で使っていた,小さいけど強力な円筒形(高さ方向は非常に短いもの)の磁石を使うと予想通り(3)が安定になります。

しかし,映像はそうなっていないので最初はトリックかと疑ったのですが,実験屋魂を発揮して,その簡単な実験を再現してみることにしました。一昨日の晩100円均一に行き棒磁石を買い(実験屋の職業病か予備がないと不安で4本必要なところ5本買ってしまいました),昨日その検証実験をしてみたというわけです。そしたら,驚くべき結果になりました。。

確かに(3)ではなく(1)が安定なのです。
1番上でも1番下でも構いませんが,どちらかがないときは,

_SN_
NSNS
机机机

あるいは,同じことですが,

(4)
NSNS
_SN_
机机机

が安定です。まあ,予想通りなわけです。ところが(4)の上にもう1本置こうとすると(3)ではなく(1)(の左右反転)になってしまうのです。この驚愕の(?)事実に驚き,棒磁石の先の磁束密度の高いところをプローブ代わりにして磁力線の向きを探ると,磁石の先はなんとなく予想通りの磁場なのですが,中央部分は磁束密度が極めて弱いという,よく考えれば当たり前のことがわかります。どうやら,磁場の強さが先端部分>>中央部分のために,中央付近の磁場は一番下の棒磁石による寄与が大きい,ということがNさんと一緒に遊んでみてわかった結論でした。

前述した,強力な円筒型の磁石で別の結果(=直感による予想と一致)を得ていたので,棒磁石の結果はより一層驚きでした。複雑な形のときの磁場は全然自明ではないことがよくわかりました。今回の場合だと,棒磁石の縦横比が重要なパラメータになってるんですよね,きっと。KEKには磁石製作のプロがいますから,有限要素法の計算でもお願いしたくなってしまいました。

大学の授業等のネタとして,複雑な形の磁石の磁場の向きというのを説明する教員がよくいますが,昨日はその面白さを小学生並みの実験で実感しました。こういう面白さを子供に伝えたいものです。有限要素法の計算をしなくても,小さなクリップか砂鉄を使って磁力線の向きを可視化するのが手っ取り早くてわかりやすいでしょうか。いやー,ATLASという巨大で金のかかる実験をやっていながら言うのもなんですが,昨日の棒磁石の実験は本当に楽しかったです。

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