ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

FTBF

今ビームテストをやっているのは,FTBF(Fermilab TestBeam Facility)という所だというのは数日前に書きました。ここは基本的には2本のビームラインがあり,1本は私たちのような短期でビームテストをやる目的で使われ(MTest),もう1本は比較的長期間,数ヶ月スケールで行う実験のために使われています(MCenter)。今は,MTestだけにしかビームを出していないからなのか,1分間に3秒間のスピルしかないことを除けば,非常に順調にビームが出ています。Main Injectorからビームをもらっていますから,Main Injectorが極めて安定しているのでしょうね。

私たちのビームテストでは,粒子の多重散乱を避けるためになるべく高い運動量の粒子が欲しいので,Main Injectorからの120GeVの陽子をそのままMTestに送ってもらっていますが,途中にターゲットを入れたり,アブソーバーを入れることで色々な種類の粒子を色々な運動量で出すこともできます。実際,私たちも自分たちのビームタイムにビームの種類やエネルギーを変えました。加速器のコントロールルームに電話して待つこと10分とか15分くらいで,自分たちが希望した種類と運動量のビームになります。どれくらいの純度のビームかは置いておくとして,これだけ簡単にビームの種類を変えられると,目的に応じて色々なビームテストをやれそうです。

また,ビームテストをやるユーザーが使う目的で,トリガー用のシンチや,トラッカー,粒子識別用のチェレンコフカウンターなんかがビームラインに置いてあるので,読み出しがどうなっているのか知りませんが,そこら辺のインフラも整備されています。ユーザー用の遠隔操作できる架台も置いてありますし,何をどうやって使えるかを詳しく知っていれば,かなり楽に準備をすることができそうです。

それから,一番驚いたのは,FTBFのユーザーをサポートする専属のテクニシャンが数人いることです。インフラ,メカニカル,エレキ,これらの面倒を見てくれる専属の人たちがいるのです。私たちは下見もせずに,まあ,FTBFのコーディネーターから鬱陶しいと思われるくらい私がメールで前もってやりとりはしていましたが,実験道具を持ち込み,それでも2,3時間でインストールできてしまったのは,彼らが手厚くサポートしてくれたおかげです。彼らいわく,頻繁にFTBFを使うユーザーは慣れているのでそんなにサポートしないし必要ないけど,私たちみたいな一見さんに対してはしっかりとサポートしてくれるのだそうです。このリソースは素晴らしいです。

冒頭にも書きましたがオフスピルの時間が多いことと,安全検査が煩雑なこと(こちらは知っていて慣れていれば前もって十分対応可能)を除けば,非常に便利な施設です。それなりにユーザーはいるものの,secondary userとしてなら比較的いつでも使えるというのは,羨ましい限りです。それに比べて日本の状況は悲惨です。1GeV以上のビームでビームテストをやれる施設は皆無です。KEKのHさんをはじめとして,日本で高エネルギー物理をやってる人の多くがこの現状を憂いていますが,すぐに解決できる話ではないので,当面は現状が続きます。ヨーロッパにはCERNがあるし,DESYもそこそこはやれるみたいです。色々なところで言ってますが,この現状ホントなんとかしたいです。

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