ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

4年生ポジトロニウム続報

卒業研究発表会が終わった後も,4年生はなんとかポジトロニウムが見えないかと色々試行錯誤を繰り返していました(います)。前にも書いたかもしれませんが,問題となっているのは,ポジトロニウムを生成させるターゲットであるシリカエアロジェルの有る無しにかかわらず,寿命成分が見えてしまうことです。

見ようとしている信号は,オルソ・ポジトロニウムが3γに崩壊する事象です。背景事象の主なものは,陽電子の対消滅による2γ,あるいはパラ・ポジトロニウムの崩壊による2γです。陽電子の対消滅の場合,トリガーをひっかけた陽電子が起源になっている場合と偶発的な場合(アクシデンタル)の2種類があります。どの背景事象についても,起源は2γなので,光電ピークを作ってるやつについては,511keVのところに綺麗にピークが見えます。一方見たい信号は3γなので,511keVよりも低いエネルギーをまずは要求します。4年生は確か,400keV以下だったような。

エネルギーの要求をした後に残ってるのはコンプトン散乱した2γなのですが,こいつらの崩壊時間分布は,トリガーした陽電子起源なら寿命ゼロ,アクシデンタルなら一声フラットになるはずです。ですから,理想的には崩壊時間ゼロのところのピークに加えて,フラットなアクシデンタルの上に,exponentialで落ちていくオルソ・ポジトロニウムの寿命成分が見えるはずです。実際には,時間分解能があるので,崩壊時間ゼロのピークがなまって寿命成分にしみ込みが出てくるので,時間分解能よりも十分崩壊時間の長い部分だけを見て,そこのexponentialの傾きから寿命を求めます。

以上がざっくりとした寿命測定の方法ですが,寿命を測る前に,まずはポジトロニウムが本当に生成されているのかどうかを調べるために,冒頭のように,エアロジェルがある場合と無い場合とで崩壊時間分布を比べてみたのですが,その違いが全く見られない,というのが今の問題です。で,謎なのは,上記のように背景事象だけだったら,フラットな成分か,ゼロ付近に分解能でなまったピークだけがあるはずなのですが,オルソ・ポジトロニウムの寿命と同じくらいのオーダーの寿命成分が見えてしまっていることです。

この結果をそのまま解釈すると,理由はわかりませんが,エアロジェルなしでもポジトロニウムができてしまっている。しかも,エアロジェルによる生成よりも数が圧倒的に多いことになってしまいます。あるいは,寿命成分をもつなんらかの背景事象が存在することになります。

とりあえず疑っているのは後者で,なんで寿命成分が出てしまうのかということを調べようとしています。過去に多くの人が同様の実験をやっていますので,なんらかの粒子起源という可能性は考えていなくて,検出器起源の偽の信号ではないかと考えているのですが,寿命成分に見える,つまり陽電子によるトリガーと相関を持つ検出器起源の偽信号の原因をあまり思いつきません。一つ思いつくのはPMTがアフターパルスを出しまくっていることなので,この辺りを調べるように4年生にはアドバイスした,というのが最近の状況です。

アフターパルスについては,まずはHVを下げてみるとかありますが,真面目に調べようと思うとそれだけでもかなり面白いテーマになります。来年度も同じテーマでやるなら,この辺りをまずは調べてみるのも,4年生の予備研究としては面白いかもしれません。

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