ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

間に合うかビームテスト

何度か取り上げていますが,シリコン検出器などを開発するときにはビームテストというものを行います。加速器からのビームを使い,試験検出器の性能評価をします。たとえば,シリコン検出器だと試験する対象の位置分解能が100μmとか50μmとかもっと小さいとか,そういうオーダーになります。ということは,試験対象の位置分解能を測定しようとすると,さらに高い位置分解能を持った検出器が必要になり,そういう検出器のことを総称してテレスコープと呼びます。今説明したように,試験すべき検出器の位置分解能を調べたり,検出器の検出効率の場所依存性を詳細にマッピングするときなどによく使われます。

このテレスコープを,センサーと読み出しASICは存在したものの,本当にセンサーとASICがあるだけという状態から作り始め,ようやく3年目にして完成が近づいています。ASICの読み出し試験のための基板作りから始めて,本当にゼロからのスタートにもかかわらずセンサーなしのほぼ完成形に近い所までHくんが持っていき,それを引き継いだIくんがセンサー取り付け後の動作試験を行い,そして今3代目のYくんが今まで隠してきた問題点の洗い出しを行いデバッグを行うという,大変な作業を頑張っています。

Iくんとの引き継ぎがあまり上手くいかなかったために,出だしが少し遅れたのですが,ここ最近は物凄い勢いでデバッグ作業を進めています。その過程でファームウェアを勉強する必要に迫られたのですが,凄い早さで学習していってるようで,かつ,Iくんにも強力なサポートをお願いし,さらにテレスコープ関係者ではなかったEくんにもソフトウェア等のバグ出しに協力してもらう,という総動員態勢でテレスコープの仕上げ作業を行っています。

というのは,10月中旬から11月初旬にかけてCERNで,ATLASのピクセル検出器開発グループがビームテストを行い,そのときに,パラサイトでテレスコープの試験をやろうと目論んでいます。パラサイトというのは,正式にビームタイムを貰ったグループ以外が,正式にビームタイムを貰ったグループに許可を貰い下流でやる試験のことです。電子やγを使ったカロリメータの試験なんかはだめですが,ピクセル検出器などの荷電粒子飛跡検出器の場合,試験に使うビームは高エネルギーのハドロンなので(電子を使うこともあるが,本来は高エネルギーハドロン,あるいはミューオンが望ましい),上流で試験をしていても,さらに下流までビームは届きます。なので,実験ホールにスペースさえあれば,基本的にはビーム下流でさらに実験を行うことができます。ただし,検出器の調整が必要だからビームを止めるとか,逆にビームを出すというタイミングは正式にビームタイムを貰ったグループが決めることになります。まあ,当然です。

そういうわけで,ATLAS大阪グループの数少ないヒューマンリソースの多くをテレスコープに動員してます。上記の学生に加えて,テレスコープだけでなく,テレスコープと本来試験すべき対象を統合したデータ収集システムが必要になりますので,その準備のために,KEK等の方々の協力も得ています。さらに,KEKのIさんとNくんの力を借りて私が行っているのは,パラサイトでビームテストをやらせて貰うための説得作業(?)です。先週もそのための発表を行いましたし,再来週にまた同様の発表をしなければなりません。私たち以外にもパラサイトで実験をやりたいというグループが複数あるので,ちゃんと準備状況を報告して,やれると思われないとなりません。

これだけ色々な人が頑張っているので,なんとか間に合うといいのですが,あまりにビームタイムの直前にやっぱりできませんとは言えないので,どんなに遅くとも今月中くらいにはビームテストをやる,やらないの判断をしなければなりません。頑張りどころです。

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