ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHCとATLAS近況

シャットダウン中ですので大きな動きはないのですが,たまには,ということでザックリとした近況を。

今回のLHCシャットダウンの大きな目的の一つは,LHCの電磁石の電気的接続の試験と再接続でした。2010年の事故は,電磁石間の接続抵抗がわずかに大きい部位があったため,そこで超伝導が破れ,それに伴う連鎖反応が引き起こしたものでした。最終的には,液体ヘリウムが一気に気化して体積が急激に増えたために加速器の一部が破裂しました。これを防ぐために,ヘリウムを逃がす安全弁の強化と同時に,先に書いたように,電磁石間の電気的接続をやり直していました。一言でやり直すといっても,LHCは周長27kmですから大作業です。その大作業がたしか4月末に終わり,これから徐々に電磁石たちを冷やしていきます。これも冷やすと一言で言ってますが,液体ヘリウム温度にまで冷やすのですから大作業です。数ヶ月間かけて徐々に冷やしていき,LHCの全ての電磁石が今年の秋から年末までには立ち上がる予定です。

これに先駆け,LHCにビームを入射するための加速器群,ライナックに始まって,ブースター,PS,SPSは,順次立ち上げ作業が行われていて,SPSは秋くらいから稼働を開始します。LHCとは直接関係ありませんが,SPSが使えるようになると,CERNでビームテストをできるようになるので,検出器開発で高エネルギーのビームを必要としている人たちにはSPS稼働は大きなニュースです。

そんなこんなで,来年の1月からLHCはコミッショニングを開始して,4月くらいには物理データの収集を開始する予定です。ビームエネルギーは6.5+6.5TeVの予定です。いきなり14TeVではやらないというのが一つのコンセンサスとなっています。

一方,ATLAS実験でのマイルストーンは,検出器最内層に新たに設置予定だったIBLと呼ばれるシリコンピクセル検出器1層が無事インストールされたことです。5月のゴールデンウィーク空けにインストールされました。モジュールのワイヤボンディングが腐食してしまったためにやり直しというトラブルがありましたが,なんとか,インストールにまで漕ぎ着けることができました。

その他,実験現場では調子の悪かった電源の交換作業のような整備作業を続けています。検出器サイドも大きなトラブルはなく,というか,IBLの設置以外は大きな作業はなかったのですが,来年早々のデータ収集開始に向けて,ハードウェア,ソフトウェア両面の準備作業が着々と進んでいます。

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