ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

β線での試験

M2のAくんは,シリコンピクセル検出器を通過するβ線がセンサーで作る電荷量の測定を長いこと試みているのですが,なかなか思った通りの結果が得られず苦労しています。ATLAS日本シリコン検出器グループの長ーーーい週例ミーティングで,今日もその話題になりましたが,なぜ思ったような結果が出ないのかいいアイデアは得られませんでした。

使っているβ線は放射線源からのものでエネルギーが低く,多重散乱の影響その他,あまり好ましい較正ソースではないのですが,私たちが扱っているシリコン検出器は小さいので,レートが稼げる方法でないと試験になりません。たとえば,宇宙線中のミューオンを使えればそのほうが圧倒的にきれいな信号を得られるのですが,小さな検出器,かつトリガーカウンターでアクセプタンス,特に立体角を絞らなければならないので,レートがとんでもなく小さくなってしまい仕事になりません。

そういう理由でβ線源を使っているのですが,ビームテストでの結果を調べてもらうと,予想と一致する結果になっているということがなんとなくわかり,やっぱりβ線源は難しいのかという状況になっています。前にも何度か書いてる気がしますが,1家に1台は無理でも,1研究室に1台くらい,いや1大学に1台くらい自由に使える加速器があると,とてつもなく私たちの研究は楽になります。加速器技術が進んでそういう時代がいつかは来たりするのですかね。夢かもしれませんが,そう願いたいです。

そうだ,加速器といえば,KEKのBファクトリーもJ-PARCも今年度は運転経費が削られた上に,電気代がとてつもなく高騰しているため,加速器の運転時間がとてつもなく減らされています。というか,Bファクトリーは運転できないという悲惨な状況です。家に転がっている電気代の明細を見ると電気代の値上がりが気になりますが,KEKや大学のような大口契約ではその値上がり率が一般家庭よりも大きいので,電気代値上げはボディーブローのように研究成果に響いてきます。

T2Kは立派な成果を出していますが,そもそも予定していたほど加速器が陽子を出してくれない上に,昨年のハドロンホールでの事故のためにビームがずっと止まっていました(そういえば,ちょっと前にT2Kのためのビームがようやく出始めました)。さらに,今年の運転経費削減と電気代の高騰により運転時間が短くなり,なかなかデータをためることができていません。アメリカにライバル実験があるので少しでも多くのデータを蓄積したいところですが,T2K実験グループのへまではなく外部環境により運転時間を稼げないというのは,第3者的に見ても可哀相なところです。

話はだいぶそれましたが,Aくんには頑張ってもらい,なんとか原因を突きとめて欲しいところです。

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