ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

MoriondでのCMSの結果

昨日は委員会に出るために日帰りでKEKに行き,LHCアップグレードの話をしました。目的はILCを推進するにあたり,KEKの素核研がどのように寄与していけばいいのかを議論することで,その議論の参考としてLHCアップグレードの話をしたのですが,発表の直前にTさんからCMSがMoriondで出したヒッグスの崩壊幅測定結果が面白いという話を聞き,急遽その結果のスライドを今流行の(?)コピペして使いました。あ,冗談だとわかってもらえない人がいると困るので一応言っておきますが,こういうときは,CMSのスライド発表者の名前入りでコピペしますし,コピペとわかるように2次加工はしないで使います。

コピペはさておき,崩壊幅をどうやって測るかですが,普通の方法では相当難しい測定です。標準模型通りだと崩壊幅は4MeVで,測定精度よりも1桁から2桁狭いので質量を測ってそこから共鳴幅を測るのは少なくともLHCでは難しいです。そこでどうするかというか,有力だと考えられている方法が2つあって,1つは結合定数の測定です。崩壊できる粒子全てに対する結合定数を測定すれば結局のところ崩壊幅を測ることになりますので,色々な崩壊パターンを見れば一応測定できることになります。ただし,ヒッグスが標準模型の枠外で記述されるものだと,標準模型以外の粒子への崩壊がありますので,LHCの場合測定という意味では標準模型を仮定しなければなりません。ただし,その仮定をおいたときに得られる測定精度がわかりますので(=HL-LHCまでいくと10%以下まで行きそうです),その測定精度よりも大きく外れた値を得たとしたらそれは標準模型枠外の粒子への崩壊を意味していますので,新物理探索という観点からは十分に意味のある測定となります。

もう一つ別の方法は,ヒッグスが生成された後γγあるいはZZ(WW)へ崩壊する過程を使い,continuumあるいはoff-shellヒッグスとの干渉を使うというものです。今回CMSがやったのは,ZZへの崩壊で,おもいっきり一言で言うとoff-shellヒッグスと実ヒッグスとの生成断面積の比から崩壊幅を求めました。その結果,もちろん”測定”までは到達していなくてゼロとconsistentなのですが,95%CLでの上限値が17MeVにまでなっています。いやびっくりです。理論の不定性やらヒッグスを経由しないcontinuumのZZ生成の寄与をどれくらい正確に評価できているのか等々気になるところはありますし,手法としてこういう方法があるというのはsnow massでも言われていたので知っていましたが,ここまでの精度を出すとは思ってもいませんでした。

ちなみにMoriondのスライドはCMS以外はまだ見ていませんが,幾つか他にも面白そうなのがあるのでそのうち時間を作って眺めてみたいところです。

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