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質量の単位

素粒子の質量の単位には[eV/c^2]を使います。E=mc^2ですから,質量の単位はエネルギー/速さ2乗です。高校生で習う物理でも,たとえば運動エネルギーは(1/2)mc^2なので,やっぱり質量の単位はエネルギー/速さ2乗です。やっぱりというか,そういう整合性を持っていなかったら何の議論もできなくなります。ただし,高校生が使う単位系はMKS単位ですし,日常生活でも重さの単位といえば[kg]でしょう。そこで,126GeVのヒッグス質量をkgで表してみます。

まずは1eV/c^2が何kgになるか考えてみます。1eVは,素電荷量が1.6×10^{-19}クーロンなので,1.6×10^{-19}ジュールです。それを光速の2乗で割ればよいのですから,
1 [eV/c^2] = 1.6×10^{-19} / (3×10^8)^2 = 1.8×10^{-36} [kg]
となります。ということは,
126 [GeV/c^2] = 126 × 10^9 × 1.8 × 10^{-36} [kg] = 2.3 × 10^{-25} [kg]
です。

ちなみに,よく引き合いに出されますが金原子の質量は,原子量を調べると197なのでモル数でわると金原子1個の重さは
197 / (6×10^{23}) = 3.3 × 10^{-22} [g] = 3.3 × 10^{-25} [kg]
になります。

素粒子のくせにヒッグスは金原子と同じオーダーの重さということになります。って,この最後の結論は計算しなくてもおおよそ見当がつきます。原子核の結合エネルギーを考えなければ,金の原子量が197という時点で金原子1個の重さは197GeV前後なんだろうとわかります。陽子と中性子の重さがどちらも約1GeVだからです。ということで,126/197 = 1.6なのでヒッグス質量は金原子の0.6倍程度かなと推測できます。実際の値2.3/3.3 = 0.7とそれほど離れていません。

ゆえあって,こんなことを突然書いてみました。

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