ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

AEPSHEP再び

Asia Europe Pacific School of High Energy Physics (略してAEPSHEP)の第1回を去年の10月に福岡で行いました。表向きは規模の大きな国際スクールの新しいものが立ち上がったわけですが,その裏には政治的な思惑がおもいっきり絡んでいます。私はこのスクールのInternational Organizing Committeeというものの一員で,福岡のときはLocalOrganizerの人たちともども,かなりの時間と労力をこのスクールの開催のために費やしました。

その第2回を来年の11月にインドでやるのですが,そのための委員会が昨日ありました。これまでにもメールでのやりとりや,個人的にSkype等での打ち合わせを重ねていましたが,昨日はスクールの骨格である講義の内容や講師の選考を委員会として議論しました。私はテレビ会議での参加だったのですが,いやはや,疲れました。16時過ぎから21時半くらいまでほとんど休みなしでの熱い議論で,終わったときは頭痛がするほどでした。いや,頭痛は単なる風邪かもしれませんが,5時間以上英語を聞いてるだけでも本当に倒れそうでした。議論をリードしていく人は,英語を母語としてる人とはいえ,ずっとエネルギッシュに自分の意見を言い続けていき,そのパワーには驚かされました。あ,ちなみに,インドの素粒子物理学の最重鎮であるRという女性なのですが,噂には聞いていましたがそのパワーは本当に凄いです。

さて,昨日の議論での私なりの目標は,優秀な日本人研究者を一人でも多く講師役として送り込むことでした。もちろん,そういう政治的な目的だけでなく,よりよいスクールにするために国籍や性別に関係なく講師役に向いている研究者をなるべく多く講師候補として選考するの大切なのですが,各国の委員も露骨に自国の人間を講師役に推薦してきますから,外交と同じなんでしょうけど,やはり自国の利益を守るという観点からも行動せざるを得ません。

そういう立場で委員会に臨むと,論理のない意味不明なことを喋り続ける鬱陶しい人が多いと披露でしかないのですが,そうでなければ陣取りゲームのような感覚で結構楽しめる面もあります。責任感が伴うので純粋にゲームとしては楽しめませんが,そういう戦略,戦術的議論をする楽しさを昨日は少し感じました。あるいはパズルのような楽しさでしょうか。

まず,色々な境界条件があるわけです。各国から最低1人の講師は確保すべきとか,男女の比率とか,主催国がどこであるかとか,議論を引っ張っているのが誰なのかとか...そういう境界条件があって,そうすると日本からの講師役はどう多く見積もっても2人程度。期待値としては1人かな,というのが私の目算でした。ですので,私が考える最良の人をその人が最も面白い話をできるテーマの講師の第1候補にするということを自分の中での最低線として,何かの拍子にどこかの第1あるいは第2候補が転んだらそこに人を押し込もうという戦略でした。こういうモチベーションを持って議論するとホント結構面白いのです。

譲るところは譲っておかないと第2あるいは第3候補として複数選ばれるだけになってしまうとか,ここはこの人だろうというコンセンサスが形成されているようなところでも,とある国が第1候補を1人も出せないのでその国の人をとにかく優先するという方針の結果,最有力候補が第1候補から外れたりとか,そういうことが多々あります。そういうことも想定して誰を推薦していくか,その強弱も含めて考えるのは,パズルのようでもありトランプのようでもあり...とまあ,そういう面白さがあります。

って,そうは書いているものの,本当に楽しいわけではなく,そういう面白さを見出さないとやってられないというのが本音でしょうか。

あ,結果として,私が一番押していた人をとある講義の第1候補として押し込むことに成功したので,最低限の目標はクリアできました。あともう一人を第1候補にできそうなところもあったのですが,対抗馬が女性だったので満場一致で第1候補にはなれませんでした。素粒子物理では女性研究者の比率が圧倒的に少ないですから,講師の男女比をなるべく1対1に近づけるために誰もが女性候補を強く推薦しますので。日本だと逆差別だなんていう議論もありますが,欧米では男女比を1対1に近づけるためというexplicitな理由で議論がすんなりと通ることが多いです。

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