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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

生物と無生物のあいだ

先週のKEKへの出張の移動中読んだ本が、タイトルの「生物と無生物のあいだ」。話題の本だったらしいので、読んだことのある人もいるかと思います。書評を書くつもりではないので全体の感想、あるいは本の要旨は書きませんが、高エネルギー物理をやってる人間として強く印象に残った点を2つだけ挙げておきます。

本の内容は基礎医学(生物学?)についてなのですが、実験的なアプローチの仕方は、基本的に私たちと全く同じだということが印象に残りました。ある細胞の働きがわからないときはその細胞を含まない生体を作り、どういう問題が発生するか、どういう病気を発症するかを調べるわけですが、こういうアプローチって検出器のどこに問題があるかわからないときに我々がとる行動と全くです。たぶんそういうことやってるんだろうな、とは漠然と思っていましたが(それ以外に思いつくアプローチの仕方がないので)、本当に同じなんですね。

逆に私たちの世界とはあまりに違ってビックリしたのが、医学界(あるいは生物学の世界?)のヒエラルキーです。著者が言うには、アメリカではそういうことはないようですが、日本では未だに教授が非常に権力を持っていて、その研究室の教授以外のスタッフ・学生は、教授の手足となって働く奴隷なんだそうです。白い巨塔の世界なんて小説の中だけ、あるいはウン十年前の話だとばかり思っていましたが、現実にはまだそういう世界もあるんですね。高エネルギー業界では考えられません。いや、確かに教授に対するイエスマンもいるにはいるのでしょうが、かなりの少数派と思います。むしろ教授であろうと自分の意見をしっかり言える人間が私たちの世界では評価されたりします。大多数の人間が言いたい事を言ってますね、高エネルギー業界では。

昔、医者の友達と話をしたときも同じような話を聞かされ、「マジかよ」と思っていましたが、どうやら医学界というのは恐ろしいところなんですね。ただ、後から聞いた話ですが、教授がそうやって権威をふるっているおかげで教授に逆らえず、教授の号令のもと、地方の過疎地にも若い医者を送り込むことができた、という事実もあったらしいです。つまり、昨今の地方の医者不足というのは、昔よりもヒエラルキーが崩れてきたためだというわけです。もしそれが本当だとすると、単にヒエラルキーが悪いとも言い切れず、事は単純ではありませんね。


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