ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

IBL見学

このブログでも何度か説明しているとおり,LHCは今休止中で,加速器,検出器ともに様々な小さなアップグレードを行っています。

ATLASではIBLと呼ばれるシリコンピクセル検出器の追加がこのシャットダウン中の一番の目玉です。今日はそのIBLの組み立て現場をTさんと一緒に見て来ました。KEKからのIBLへの参加で孤軍奮闘しているTくんに見せてもらったおですが,やっぱり,話に聞くより,あるいは文章での説明を読むより,実物を見るのが一番わかりやすいですね。一般の人に素粒子物理学の説明をするのにいつも苦労していますが,それが当然と思えてしまいました。素粒子物理学って可視化できませんからね,本来。それを無理矢理何らかのたとえでイメージが湧くように説明するわけですが,そのものずばりを見ることができたらそれに越したことはありません。

おっと,IBLですが,噂通りIBL本体は小さいのですが,そのサービス(検出器を支持する構造体など)の大きさに圧倒されました。私は昔Dzeroという実験をやっていて,ある種IBLと似たような検出器を作っていました。その大きさ自体もIBLとそれほど変わりはないのですが,それを支持する構造体の大きさというか長さが何倍も違います。Dzero検出器は非常に小さいのが特徴で,Tevatron実験のもう一つの検出器CDFに比べると非常に小さい検出器でした。それに比べて,ライバルのCMSが小さいことを売りにする一方でATLASは大きいのが特徴で,CDFよりもさらに大きい本当に巨大な検出器です(高さ約25m,長さ約45m)。ですので,最内層のピクセル検出器を支える構造体とはいえかなり巨大です。数値としては知っていてもやはり実物を目にすると感じが全然違います。

さて,そのIBLですが,シリコンセンサーと信号読み出しASICをフリップチップ・バンプボンディングしたモジュールと呼ばれる検出器の心臓部分の製造はほぼ終え,今はそれらをステーブと呼ばれる構造体に載せる作業が行われています。これもかなりの部分が済んでいるのですが,最近になってかなり深刻な問題が見出されました。その問題をどうやって解決するかというのがATLASグループ内では今非常に重要な問題となっています。本来はステーブ14個を構造体に載せるとIBLの完成,あとはATLAS検出器への組み込みということになるのですが,作ったステーブが使えるのかどうかという問題に直面しています。

修理する方法,その問題が再発しないようにするための方法,そもそもなぜそういう問題が発生したのか,等々がIBLグループ内で色々議論されています。今後どうなるのか,目の離せないところです。

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