ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

アンダーソンとSSC

この前聞いたKさんからの話の受け売りの続きです。

ゲージ対称性を保ちつつ南部ゴールドストンボソンを消し去るメカニズムを相対論的場の量子論の枠組みの中でたくさんの人が模索し,そのゴールに辿り着いたと評価されたのが,今年のノーベル物理学賞を受賞した二人なわけですが,当然のことながら他にもたくさんの人が同じゴールを目指しました。少し遅れてゴールに到達(?)したのがグラルニック・ハーゲン・キッブルであり,そして,数日前のエントリーで取り上げたミグダルとポリヤコフです。

では,アングレール・ブラウトとヒッグスの前にどんな人がそのゴールを目指したかというと,有名なのがアンダーソンです。超伝導で有名な物性のアンダーソンですね。アングレールやヒッグスが論文を投稿する1964年よりもさらに2年前に,プラズマ振動がゲージ対称性を保ちつつベクトルボソンに質量を与えている例,非相対論的ですが,になっていることを指摘する論文を発表しました。しかも彼は,南部ゴールドストンボソンを回避しようとする試みと,ベクトルボソンに質量を与える試みを組み合わせれば同時に2つ解決できると予言したのだそうです。つまりヒッグス機構の予言そのものです。しかも,彼は予言しただけではなく論文を発表しなかったけど,ヒッグス機構に辿り着いていたらしいというのです。

それが本当か嘘かは別として,南部ゴールドストンボソンを消し去りつつベクトルボソンに質量を与える仕組みに限りなく近づいていたのは本当みたいです。だからこそ,アンダーソンが質量の起源に関するノーベル賞は自分が貰うべきだと言ってるという話がありますが,それも仕方ないところなんだと感じています。彼にしてみたら「自明」だったので論文出さなかったという説があったりしますが,いずれにせよ,早いうちに論文出しておけばよかったと思ったでしょうね。いや,しかし,この前のミグダルとポリヤコフではありませんが,アンダーソンも天才中の天才です。何でもよく見えてたんでしょうね。

そんなアンダーソンですが,どうも高エネルギー物理屋にとっては特にSSC関係者にとっては天敵のようです。完全に憶測レベルの噂話ですが,SSCに反対して潰したのはアンダーソンだと言うのです。物性屋の総大将として(?)SSCに反対して中止に追いやったという説があります。もしそれが仮に本当だとしたら,ヒッグス機構に,素粒子物理に恨みがあったんですかね。逆に,素粒子物理業界(?)で彼の業績,物性屋としての業績ではなく質量生成機構に関する仕事をもっと評価してあげてたら,SSCは違った結果になったのかもしれません。って,そんなわけないか。

最後の与太話はさておき,アンダーソンがヒッグス機構に近づくのに非常に重要な役割を果たしたのは間違いないようです。

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