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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

検出器テストの具体例

今行っているシリコン半導体検出器試作品のテストがどういうものか、私たち実験物理屋以外でもわかってもらえるよう、今日は端的な例を挙げて説明してみようと思います。

まずデジカメを想像して下さい。昨日のエントリーでも書いたように、私たちが開発中、あるいは荷電粒子の位置の測定用として広く用いられている半導体検出器というのは、デジカメの兄弟分です。デジカメは光センサーの数を何百万画素(今や何千万?)と表現しますよね。文字通り多数の光センサーからなっていて、その一つのセンサーをピクセルと呼びます。私たちが開発中の検出器についても、同じようなものだと思って下さい。

そのテストがどういうものかと言うと、大きく3つに分けることができます(一般的ではなく、今説明のために勝手に3つに分けます)。

1つ目はまず、各センサーからの信号を読み出せるかどうかです。検出すべき光などがセンサーに入射したとして、センサー自体がそれに応答してなんらかの電気信号を作り出しても、それをコンピュータなどで読み出せないことには、私たち人間にはセンサーが動いているのかどうかすらわかりません。そこでセンサーの作り出す電気信号を読み出すための装置(ハードウェア)そのものと、読み出すためのコンピュータ・プログラム(Data Acquisition System 略してDAQ)が必要になります。テストの第一歩は、これらの装置が正しく動作しているか確かめることから始まります。一昨日説明したように、私たちのグループのHくんが、データ読み出し用ハードウェアに必要なファームウェアとDAQ開発の中心となっています。

2番目にやるべきことは、光などが無い状態での検出器の反応の確認です。デジカメなら真っ暗な状態で撮影して、真っ暗な映像になっているか確認することに相当します。例えば、大きな電気的ノイズがあれば、真っ暗なのになんらかの露光を受けたようになります。電化製品として売られている物では心配する必要ありませんが、私たちの使う繊細な検出器では些細な電気的ノイズその他の影響で、検出器が思ったように動作しなくなったりするので、センサーへの光が無い状態での検出器の反応というのは非常に重要なチェックすべき項目です。また、データ収集システムが正しく作動していることの確認にもなります。

ここまで済んだら、いよいよ光などをセンサーに当てて検出器の反応、つまり電気信号が正しく生成されているか確認することになります。真っ暗な状態に比べてセンサーから有意に大きな信号が来ているかチェックするわけです。ここまで来ると色々なテストができて非常に面白くなります。レンズを着けて動画を撮影する、なんていう楽しいことまで出来るわけです。

現状、可視光に対する反応は確認できたので、次の段階としてX線とかβ線などの放射線に対する反応を確認するのが、今の私たちの目標です。それで昨日はβ線源を使ってテストをしていました。それとは別に、レーザー光に対する反応を見るテストも今計画準備中です。レーザー光のスポットサイズを数ミクロン程度まで絞れるレーザー装置を借りて、一つのピクセルにだけレーザー光を入射させます。これによって、光の入射しているセンサーだけが反応して、電気信号がとなりのセンサーに漏れ出ていないかとか、一つのセンサー内の有感領域がどれくらいあるか(1つのピクセルの全面が光検出可能ということはありません)、などなどをテストすることができます。

というのが、テストの大まかなイメージです。実際には以上のテストをするためのハードウェア、ソフトウェア両面のデバッギングに時間を費やしてしまうのですが、問題を解決してテストが進むのは面白いものです。


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