ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

通訳

長い1日がようやく終わりました。

CERN所長の講演、質疑応答、講演会に続く立食パーティでの所長のスピーチ、成り行きでそれぞれ全ての通訳をしてしまいました。その感想は、とにかく疲れました。自分で講演するのより何倍も疲れました。講演はトータルで90分。通訳しながらなので実際には45分程度の内容ですが、その間、所長が話すことを神経を研ぎすませて聞き、それを日本語変換するという作業をひたすら続けるのは、本当に大変な作業でした。普段使っていない脳味噌をフル回転させたという実感があります。

やってみてわかったのですが、英語が基本的に下手、かつ通訳という作業に慣れていない私にとっては明らかに不足している能力が幾つかあることがわかりました。まず、文章1つなら覚えていられるのですが、講演のようにスライドを使う場合、流れがあるのでスライド1枚分くらい、つまり1分間以上話し続けることがあります。そうすると、自分の英語力だと話す内容を理解するのに処理能力のかなりの部分を使ってしまうため、最初のほうで話していたことを覚えていられなくなります。全くもってFIFOから古いデータが出ていってしまったような感覚です。それから、当然というのも変ですが、数字、特に桁の大きい数字が出て来るともう完全にパニくります。数字の脳内処理が全く追いついていきません。そして、もう一つ。所長の言ってることを理解できても、それを的確な日本語に瞬時に置き換えるのは至難の業でした。これは,物理の話のときはそれほど困らないのですが、日常会話のような内容になると途端に困りました。たとえば、embarrassment という言葉がでてきたとします。その意味は理解して話の内容はわかっても、それを日本語でどう表現すればいいのかすぐに出てこないんですね。とまあ、こういう諸々があって、数字の桁を間違えたり、かなりの省略があったりと色々ありました。

特に頭が真っ白になったのは、立食パーティののときです。もう自分の出番はないと思って酒を飲み、リラックスして周りの人と話をしていたところ、突然スピーチの通訳と言われ、その時点ですでに若干聴牌気味。でもって、酔ってたからなのか、何を言ってるのか全く意味を理解できないときがあり、本当に参りました。その一例は、英語を勉強しなさいみたいなことを言ってるときがあったのですが、何を勉強しろと言ってるのかまではきちんと聞き取らずに、そこまで喋った内容の日本語表現を考え始めました。つまり、私の心の中では何かを勉強しなさいというフレーズを聞いた時点で、素粒子物理あるいは科学だと判断して日本語表現を考え始めたのです。でも実際には、勉強しろと言ってたのは英語。いや、参りました。他の人が訂正してくれたのですが、なんで英語を勉強しろなんて言ってるのかそこがわからないため、私の中では全く理解不能な内容になっていたのです。パーティのときに所長はパーティ参加者の日本人と英語を勉強しないとならないね、ということを話していたそうで、私程度の英語力だと自分の知ってる知識で完全に聞き取れない部分を補完していくので、こういう間違いが起こってしまいます。

そんなこんながあった講演会とパーティですが、講演会に参加した方が講演会を楽しめたのかどうかが気がかりです。私の通訳がダメダメなのもありますが、彼の話の内容は非常に高度で、後半部分は素粒子物理をやってる修士課程の学生でも理解できない箇所が多々(ほとんど?)ありました。なので、内容を理解するというより、CERNの所長が何か難しい話をしていたという雰囲気を楽しんでもらえたら、という感じでした。

ところで、全てのプログラムをこなした後に、CERN所長、KEK機構長、その他私も含めてトータル6人で居酒屋に行きました(全員物理屋)。朝食のときにコーヒーがなかなか来なくてイライラしていたのとは違い、CERN所長は寛いで日本酒を楽しんでいました。とてつもなく疲れた1日でしたが、色々と貴重な経験ができて、その点では本当に充実した1日でした。

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