ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

SVX4からの信号読み出し

かなり前にも書いたような気がしますが,Fermilab時代にシリコン検出器からの信号読み出し用に開発されたSVX4というASICの試験をやっていたことがあります。もともとSVX4は,幻のTevatron Run2b計画で使われる予定に開発されたものなのですが,その計画が幻に終わったため(アメリカは政権が変わったり財政事情が変わると,科学計画も瞬時に変更になり,すでに走っている計画でも容赦なく打ち切りになります),Tevatron実験ではDzero実験のシリコン検出器の最内層に入れた小さなシリコン検出器だけにしか使われませんでした。その後,SVX4はBNLのPhenix実験のシリコン検出器アップグレードに使われ,結局のところPhenixが最大顧客となりました。

そのSVX4を使って小さなシリコン検出器を作ろうとしています。シリコンセンサーの開発時などには,開発中のシリコンセンサーの入射粒子に対する反応を調べるために,ビームテストあるいは宇宙線を使った試験を行います。その際,試験すべきセンサーのどこに粒子が入射したかを精度よく決めるための別の検出器が必要となります。このreference用の検出器のことをtelescopeなどと呼び,それを作ろうとしています。

試験すべき対象が微細な構造を持ったシリコンセンサーですから,referenceとなるtelesope検出器は高い位置測定精度(10μm)が要求されます。これを達成するには,ストリップピッチの狭いシリコンセンサーと,センサーからの信号をアナログ読み出しすることが必要になってきます。この用途に上手い具合にマッチするのが私の使ったことのあるSVX4ということで,SVX4を読み出しASICとしてtelescopeを作ろうということになりました。

シリコンセンサーに関しては,センサーフェチ(?)のKEKのUさんに任せればすぐに(?)用意してくれます。よって,私たち大阪グループの重要タスクは,SVX4を動かすことになります。ただ,私が使ったことがあると言ってもすでに10年以上前。しかも,私が試験を始めたときにはLBLグループがすでに読み出しに成功していたので,彼らのノウハウをもとに試験を行い,エレキに関しては細かいことを全く覚えていません。という状況で,修士課程の学生のHくんに,ハイブリッドの回路図をもとにSVX4をマウントするボードを設計してもらい,とりあえずconfigurationできないかとここ1ヶ月ほど悪戦苦闘していました。

Hくんはボードを作っただけでなくFPGAも勉強して頑張ってくれていたのですが,いくらconfig用のビットパターンを送っても,チップから反応が返ってきてくれませんでした。そこで,KEKのFPGAの専門家のUさんやIさんに相談に行ったところ,私たちが怪しいと思っていたのとは別の場所に問題がありそうだということを指摘され,その対応をボード上ですべく,先週に引き続きHくんは昨日からKEKに行き,今日は朝からKEKで作業をしていました。

その彼からさきほど「もしかしたら動いたかも」とオシロスコープの写真が送られてきました。はい,どうやら動いたみたいなんですね。ConfigしようとSVX4に送ったビットパターンと同じようなビットパターンがSVX4から返ってきています。いやー,素晴らしいっ。指摘された箇所と私たちが怪しいと思っていた箇所以外には,いくら回路図等を眺めてみても間違っているような場所が見当たらず,今回の応急処置で動かなかったらどうしようかと内心ビクついていました。Hくんには,そこさえ直せば絶対動くと言ってたんですけどね。ははは。

それはさておき,とにかくよかったです。これでSVX4と交信できていること,正確にはコントロール信号を正しく送れていることを確認できました。次は,configurationに対してSVX4の応答が変わるか確認です。それをクリアできれば,いよいよ信号を読み出すべくconfigurationから次のステップへ進めます。

いやー,本当によかった。Hくんはきっと一人で泣きながら祝杯をあげていることでしょう。

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2012-06-20 Wed 03:26
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